第30話、闇ノ結晶3

◆◇◆放課後

「さてさて、第256回 雲雀イメージアップ会議を開催しまーす」

「盛りすぎィ!」「先生、先生の記憶力がシンプルにカスです」「(このノリも慣れたなぁ……)」

 毎度のように行われる雲雀会議。そのキャラの濃いメンバーに雲雀は一周回って冷静に、君軸は猿に、拳墜はいい加減胸やけがしてきていた。

「つっても、ほとんどこの問題も解決してんだよなぁ……」

「はい、今日もクラスメイトから飴ちゃん渡されました」

「明らかに子供扱いなんですがそれは」

「うちのクラスでも雲雀さんへの同情的な噂が多かったですね……校門に記者がいたのが大きかったのかもしれません」

「肛門に記者の大きいあそこが入った!?!? 許せねえええええええ!!!! 雲雀は俺の、俺のおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」

「お前のでもない」「シンプルにホモね」「腐」

 相変わらずすぎる君軸を置いて四名は何の会議をするかを決めようとしていた。

「先生としては学校行事全般の会議を薦めるぞー。文化祭、就職、テスト勉強とか」

「クラス全員がいる時にしてくださいよ……」「就職っつってもここにいる全員俺の会社就職決定なんだが……?」「シンプルに嫌ですよ」

 花子、撃沈。

「じゃあこれからは、高校生らしくきさらぎ駅の会議でもするべ?」

「高校生ってなんだよ」「二度と行かないからね」「そういや私の右目まだ残ってんのかな?」

 君軸、きさらぎ駅での思い出が脳裏に浮かびテクノブレイク。

「そもそも目的消えたし、この時間なくてよくないですか?」

「却下、雲雀とチョメチョメする機会が減る」「この時間消えたら合う機会減るし」「賛成。だがこの時間消えたら君軸が暴走することを覚えとけよ」

「盗撮盗聴下着泥棒女性用下着が何故か枕元に配置されてるのが暴走に入らないとは恐れ入った」

 雲雀、君軸的要因により敗北。

「なら、もう雲雀くんを引き摺る要素消えたんだし、青春とか、そういうのを企画する、とかは……? ほら、みんなでボランティアとか」

「楽しそうだ、と、いうことで賛成に一票」「やべえ、アンモニア系ヒロイン再爆誕する未来しか見えねえ。賛成」「おー、いんじゃねえの?」

 拳墜、勝利。厳然な実力差であった。

「で、青春てなに」「アレだよ、年頃の娘が金持ちのオッサンにだな」「それ売春だよ謳歌する予定の春ドブに捨ててるんだよソレ」

 悲しいかな、この場にまともな青春を送った奴がいない。

「ケンケン、言い出しっぺやしなんかねーの?」

「誰がケンケンよ。え……えと……ほら、友達同士が渾名呼び合ったり……とか」

 青春……渾名づくり。

「「「…………」」」

 総員、拳墜の提案に沈黙する。唖然、という言葉が相応しいぐらいに固まっていた。

「僕が穢れ過ぎていたようだ……」

「待って何思い浮かべた」

 窓外の桜の幹に鳥がとまる。

「ピュア!」

「君軸が喋ると全てが悪口に聞こえるのなんでだろ」「草」

 窓外の桜の幹に止まっていた鳥が糞をした。

「拳墜がこの性癖ダイナマイト集団の中で一番純情なのか。うう、よくこんな集団の中で穢れずに育ったなぁ……っ」

「コイツらと一緒の枠にしてる時点で一番純情穢してるの先生なんですが??」

「僕はまともでしょう!!」「うるせえフェチお化け!!」「フェチお化け!?」

 語気が荒くなる拳墜。鳥が驚いてばっさばっさと飛んでった。

「でも渾名ってどんなん?」

「そ、それは……その……」

「その……?」

「めりー、とか?」

 ……………………世界が止まった。

拳の減り込む音メリィとは中々可愛いネーミングセンスだな」

「うんうん可愛いと思うぞメリィ」

「先生はその挑戦を讃えるぞ!! うん!!」

 その日以降、拳墜の渾名はメリィに決まった。尚、雲雀以外は呼んでない。

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