第129話 次回予告。


その瞬間——世界は何らかの虫の報せに身震いをするが如く震えた。


気付けば天高い蒼に潜む全てが吹き飛び、純粋な物だけが残る。

昼日中に空から落ちる白き彗星に、争いを続ける誰しもが何らかの凶兆を思い描く。


彼らは知っているだろうか、

その星が、此度の戦乱とは本来であれば何も関係の無い物だと。


彼女らは知っているだろうか、

その星が抱く願いが、叶わぬと思いながらも望んだ平和の祈りなのだと。


——どちらにせよ、意味も意義も無く戦いは続く。


堕ちゆく彼の星と同じ高さの滝が流るる事に変わりは無い。

まるで呪われた血族の止めどない恨みが吐き出され続けているように。

未だ深淵に蠢く者の威嚇のように。



牙を伝う毒は如何な病を世界に与えたもう。


されど忘れるなかれ——その毒が生まれいずるは人の業——非業ばかりの世界の結露。

それを唯一と想う者は、いつ覚めるかも分からぬ眠りの中へ。


しかして生まれながらに龍を身に刻まれた姫が躍るのだ。

約束を灯す、因果の旋律を金色の眼でなぞりながら。


彼女の振るう拳に籠る心は。

——さもすれば、彼女は既に憎しみからは解き放たれて——。


雪の降る晴れ晴れとした日和の久しき再会、吹雪の中で魔女も舞う。

兎は何故、そこに居たのか。


蛇を操る笛の音が響き渡る森にて。

戦いは——更なる混迷へ。


次回、断頭台のデュラハン13——【愚鈍編】


1月20日、連載開始。

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