第96話 次回予告。


誰にも見えない秘密の箱。


箱の中身は見えはしない、何故なら箱は透明では無いから。


己に呪われた魔人は、鼻唄混じりに同じ時を過ごすいびつな魂と語らう。


孤独は何処にもない。

されど人々は病におかされ、熱にうなされ、たんの混じるせきを溢す街。


すこやかに、健やかに、病んでいく。


朦朧もうろうと悪魔の嘲笑を聞こえぬ素振り、己には止められぬ動悸どうきにのみ突き動かされ、息が切れるのも忘れて滑車かっしゃの如く世界を回す。



橋が運ぶは人間のみにあらず。


目も逸らせぬ悪夢の夜に、鏡のような眼を静かにきらめかせ、

魔人は何を——誰に祈るだろう。


茶会の夜、誰も座らぬ椅子の前——

湯気立つ紅茶の数を遠目に数えた人影は、冷めゆく時の流れを嘲笑う。


不治の病が生み出すは万病への吉凶。

アナタは、どちらを信じるだろう。



世界の破滅か、或いは救済の序章。



まぁ、どちらにせよ——どうでもいいと、彼は言う。



次回、断頭台のデュラハン——


疾病しっぺい編】


6月21日、連載開始。

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