第85話 次回予告。

路なき道を進む。


別たれて馬車を牽く不吉な馬は、車輪で悪魔の吐いた笑み色の血飛沫と共に小石を刎ねた。


行先に目論むは破滅の業火か、或いは終末の余韻。


一方、遠くで聞こえる笛の音で踊るが如く悪魔から解き放たれた獣の少女は、金色の双眸に多くの群衆の濁流を桟橋の上から静かに見つめた。


想い至るは世界の広さか小ささか。


喧騒慌ただしく彩られた平穏な一時。灰色の回顧録。


やがて進軍の足並みは、群衆の嘆きを掻き切りながら、因果のように橋の下の暗がりに歩みを進めるのだろう。


二匹の兎が、小さく泣いた。


抗えぬまま、河に流される糸の如く絡みつく運命の哀れ。


それでも抗いて向かうは——滝の源流、蛇の巣窟。


——次回、断頭台のデュラハン9。


狂騰きょうとう編】


4月20日、連載開始。

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