第46話 塵に燃えゆく。3/5
そしてその想い人の戦いの決着は——、
「おい……役立たず共よ。
文字通り水を差された所まで時を
武骨な
「ち、違うんだピョン‼ なんか危ない状況みたいだったから、あっちの頭のおかしい女を利用して
「ほう……貴様らの
「ひぃ‼ 許して欲しいピョン‼ アッチのバンシーは聴いてた話より厄介な力を持ってて困ってたんだピョン‼ このカトレアって女の剣も意味ない感じだったピョン‼」
カトレア・バーニディッシュと同じ顔で赤い目を光らせるデュラハンの頭部クレアに
クレアは、そのユカリの弁明を一考した。
「カトレア……その兎が貴様の剣が役立たずで仕方なく逃げ帰ってきたと申しておるが、貴様に異論は無いか?」
そして一考の後、同じくユカリに向かってカトレアに話しかけるクレア。同じくルーゼンビフォアの太陽——否、クレアとルーゼンビフォアの戦いに文字通りの水を差した言い分をカトレアにも聞いておこうという腹づもりである。
すると、現れたるカトレアの意志。
「なっ⁉ 馬鹿な‼ 私は勝てずとも時間を稼ぎながら戦おうとしましたが、ユカリが私の体を勝手に操り逃げてしまったのです‼ 私の剣は奴に劣ってなど居ない‼」
クレアが他言語に
それを受け、未だ静かにクレアは一考する。
「ふむ……ユカリ。貴様……我よりもあの小娘の方が怖いと、そういう判断で動いたのだな」
次にカトレアの言い分を聞き、彼女なりの
ただ、その冷静な口振りの反面、クレアの操る骸骨騎士が
故に、ユカリは
「ち、違うんだピョン……く、クレア様なら何とかしてくれると思ったピョン。クレア様は優しいし、私も頼りにしてるから、はは……死んじゃったらこれからも役に立てなくなるし、許してくれる……ピョンよね?」
「……」
掴まれていた兎耳が手放されると同時に、一歩後ろに飛び
しかしクレアは何も語らず、骸骨騎士の右腕に魔力を用いて黒い大剣を創り出す。
「ユカリ‼ 何を言ってるか分からぬが、私の身体で
「黙れピョン‼ 命あっての物種ピョン‼ この人達には逆らわない方が良いピョンよ‼」
そして己の身体——己が使わない女としての
「クレア様‼ 大変で御座いますです‼」
そこで空から霧を吹き飛ばし、慌ただしくデュエラが登場した事がユカリにとって救いとなったのであった。
だが、尋常ならざる程に焦るデュエラの様子を見るに、起きた事態は並々ならぬもののよう。
「……今度は何だ。敵はまだ動いておらぬだろう」
未だユカリの処刑に
すると、デュエラは荒れた息を整えるべく、
「——外に出しっぱなしにしていた調理器具や食材が先程の爆風で——馬車も倒れてしまってるので御座いますよ‼」
「「「……」」」
その緊急事態は、一見すると何の事では無い間の抜けたものであるかもしれない。
しかしながら、その調理器具と食材に並々ならぬ想いを向ける者に一人——心当たりがあれば状況も変わってくるのだろう。
「いいいい、イミト様に怒られてしまうかもしれないのでで、でです……‼」
罪悪感と
その
「……奴には我が事情を話す故、そう怯えるでない。別に怒りは——……いや、怒ったとてデュエラに非ある訳では無いから気にするな、安心せよ」
だが、何とか慌てるデュエラを落ち着かせようと言葉を掛けるも、脳裏に浮かぶ人物像が
間違いなく彼女にも、その調理器具や食材の惨状を見て静かに怒る男の背が思い浮かんだ事は明白で。
「そ、そうで御座いますが……イミト様は道具を、とても大事になさっているので……」
一旦、落ち着いて状況を考えようとする一行。
そんな折——
『この役立たず‼』
「きゃあ‼」
霧の向こうから女の
「「「「——……」」」」
そういえば、戦いはまだ終わっていない。張りつめた緊張感、一行は取り
——霧は、もうすぐ晴れつつあった。
そして見えてきたのは、
「せっかく、この私自らが力を与えたというのに邪魔ばかりして‼ 私が現れなければ売春宿で男に腰を振るしか能が無かったくせに、またあの頃に戻りたいのですか、この恩知らず‼」
「い、いや……ごめんなさい、ゴメンナサイ‼」
ルーゼンビフォアは戦いの邪魔をされて、ヒステリックを起こした様子でイミナの黒い髪を乱暴に掴み、謝罪するイミナに
その様を見て、静まり返る一行。
「——
骸骨騎士の肩から大剣を降ろさせて、静かな声を放つクレア。
「ええ……少し同情してしまいます」
「……言葉が分からないけど、やっぱりルーゼンビフォア・アルマーレンは、ああいう奴だったピョンね。アイツが私を兎に生まれ変わらせたと思うとムカつくピョン」
それに並び立つカトレアと、嫌悪を示すユカリ。
目の前で行われた光景に、恐らく四人が抱いた想いは同じだったのだろう。
反吐が出るような
ただ——、一人を除いて。
「……——」
「分かったら、あの連中の一人でも倒して私の役に立ちなさい‼ このグズ‼」
ルーゼンビフォアの怒りに
「……すみませんなのです、クレア様」
「?」
呟かれた謝罪が、何に対しての物か、伝えられたクレアが理解するよりも早く——、
「クズは——……オマエサマ、なのです‼」
飛び出した少女、デュエラ。言い放った感情の全てが——その【拳】に激烈に宿った。
「——なっ⁉ 速——うぶっ⁉」
その速度は、きっと——ルーゼンビフォアの
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