第43話 開戦。4/6
「……貴様がイミトの妹のイミナだな。その仮面は一度、見たので覚えておるよ」
「……‼」
「——……今、なんと?」
彼女らは全てを知っていたからだ。
否、考え至っていたと言うべきなのだろう。
彼女らが知る
「イミトからの伝言と言う訳でも無いが、我らが貴様を殺そうと別に奴は何も思わんそうだぞ。まぁ、墓参りくらいはするつもりだそうだ。良かったな」
「……‼」
イミトとの因縁浅からぬ仮面の少女は、感情の
「待ちなさい、イミナさん。ただの挑発です、乗ってはいけません」
しかし、進行方向をルーゼンビフォアの槍で
「……それで、そっちの男はレザリクスの部下か。デュエラの石化の呪い対策で連れてきたのだろうが、見るからにゴーレムのような図体と顔をしておる」
「——……」
けれど男は何も
「ふみゅふみゅ、アチラ様をワタクシサマが倒せば宜しいのですよね、クレア様」
「ああ。朝食の腹ごなしには丁度よかろう」
だが、答えが何であろうが動きは変わらぬ。そう行動で
「……何を
デュエラとクレアの楽観的な立ち振る舞いに、カトレアだけが息を吐く。彼女は食事の手を止めて剣の
それは、彼女にとってあまりに重要な事実だったのだろう。
イミトの妹——仮にもイミト・デュラニウスに少なからず恩義を感じている騎士が
自分の役割は、刀を持つ仮面の少女。
自身の
「うむ。だが別に貴様には関係なかろう、それどころか貴様の仲間を殺し、姫を危険に晒しておる連中の一派なのだぞ。あやつ自身も隠れ里を壊滅させたバンシーの半人半魔だ。殺してしまってよい」
「それは、そうですが……先に教えて頂いていた方が……しかも相手はバンシー、イミト殿やクレア殿の予想通りに我らが相手になるかどうかの確証も無く、不明ですし」
しかしクレアが振り返らぬままに説いて行けば、納得する他なく。カトレアは騎士として再優先して果たすべき主君のマリルティアンジュ姫に対する忠義をも揺り動かされる。
「よいから食事を続けておれ。せっかく作った料理であろうが、冷めては不味くなるぞ」
そしてカトレアの扱いが面倒になったクレアが少し振り返り、これ以上ルーゼンビフォアとの会話に入って来ないように気を遣ったフリで話題をも逸らす。
すると、それは皮肉にも相手に対して見事な挑発にもなったのであった。
「……なるほど、全ては承知の上。おおかたミリスにでも聞きましたか」
苛立ち混じりに腕を組みながら指二本で眼鏡を掛け直すルーゼンビフォア。それでも冷静さを保ちつつ、思考し、自身の推測を口にする。
だがそれは、クレアにとって見当違いも
「ふっ……鼻で笑ってしまったわ。まだ貴様らは解っておらぬようだな」
「全ては、あの阿呆……イミトの掌の上であると言ったであろうが」
確かに、事はすべからく包まれた
「愚かな貴様が、この世に解き放った
彼女らの空間移動、瞬間移動の魔法による登場すらも、筋書きに書かれている通りの織り込み済みの事態。
それを伝えるべく、
「その証拠に、と言う訳でも無いが——貴様が現れた時点で我らの策も施行される」
彼女は身に溜め込む魔力の一部を開放し、荒ぶる白黒髪を逆立たせ始め——
やがて——、
「——罠⁉ いや、違う……これは——‼」
自身が座す台座を巨大な魔法陣の端にして
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