第41話
さくらはぼやける視界の中目が醒めた。きらひやかな装飾が目に飛び込みばっと身体を起こそうとしたが引き攣るような痛みが走り顔を歪めた。
仕方なく目だけを動かして周りの様子を確認すると、そこは豪華な天蓋付のベットで自分はそこに寝ているとゆうことがわかった。
口はカラカラに乾いて唇は乾燥していた。長い間寝ていたんだろう。
ふぅ……と息を吐きそっと掛け布団をめくると、シルクの上品なナイトドレスを着ていた。
豪華な天蓋付のベット……ん?ここって…
記憶がかさなり自分がいる場所を認識すると青ざめた。
王様の寝室じゃ…ない?
豪華なシャンデリアが部屋にきらきらと光を落としていた。
ベット脇に豪華な燭台がおかれ、見覚えのある品の良さそうなカウチのソファーがあった。
窓のそばにはカーブドグラスの猫脚のキャビネットが置かれており、中には豪華なグラスが並べられていた。
軋む体を無理やりお越しベットを降りた。
多分長い間寝ていたせいでふらりと身体がゆらめいて、床に躓いてしまった。サイドテーブルを掴もうとしたせいでそこにあった水差しを手で引っ掛けて落としてしまった。
がしゃん!っと大きな音をたてたことに動揺していると、ドアが勢いよく開き大きな身体がさくらにずかずかちかづいてきた。
「大丈夫か!?」
焦った表情のカイザーが跪いてさくらの顔を挟み込むようにつかんだ。
目を見開いてびっくりして固まっているさくらを横目にぐいっと腰に手を回し抱き上げ再びゆっくりベットに横にさせた。
今の状況がいまいち分からなくてされるがままになっているさくらを見下ろし、カイザーがはさくらの額に手を当てた。
「熱は下がったようだな。おまえは気を失ってい3日寝ていた」
「……3日。あっ……え?」
「熱と、身体の疲労からのもののようだ。カインの所からこちらに場をうつして治療していた」
「カインの……そうだ!カインは!?」
「カインには自室にて謹慎させている。本人も力任せにお前をだいたことを反省している」
抱いた……直接的な表現に顔が熱くなる。
「体の辛いところはないか?食事も3日口にしていないから、消化のいいものを運ばせよう」
「あっ……ありがとうございます。からだももう大丈夫です。部屋にもどります」
そういって起き上がろうとするさくらの肩をぐいっと押し付けベットに戻した。
「さくら、しばらくお前にはここに居てもらう。カインも了承済みだ」
「え…」
カイザーの呟いた言葉が頭の中でこだました。カインの了承?
カインは私がいらなくなったの?目尻からぽろりと涙が流れ落ちて枕に吸い込まれた。
涙をこぼしたことに気が付き両手で目元を隠した。
そんなさくらの様子を見下ろし、そっと両手をひらかせるとカイザーはさくらの瞳を見下ろした。
さくらの涙を長い指ですくいとりながら
「誤解するな、カインはお前を見捨てたわけではない。だが、わけあって俺に託した。理由を話してもよいなら今から話すが、お前にとっても負担になるやもしれんからな。身体がもとにもどどってから話をしよう」
見つめる瞳は優しく安心しろといっているようだった。どこか、カインの面影が重なりドキリとする。
「とりあえず休め。食事を持って来させるから」
そういわれ、コクンと首を小さく縦に降った。
いい子だ、とでも言わんかの様にさくらの頭を撫で微笑まれた。
泣いた自分が恥ずかしくなりぎゅっと目をつぶると、
くくっと笑うこえが聞こえ
「なんだ、目をつぶって。口づけをせがんでるのか?」
からかい混じりの声色に慌てて目をあけると、イタズラな笑顔を向けたカイザーが見つめていた。
「ちっ!ちがっ……」
さくらが慌てて否定すると、カイザーはハハッと笑いながら立ち上がり部屋を後にした。
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