第38話 ***

「ひぅ…カイン…?」


 繋がったまま首筋に顔を埋められギュッとだきしめられる。汗をかいたカインの肌がぬるりと滑り胸の頂きをくりゅっと刺激され、思わず甘い吐息がこぼれ落ちた。

肩にかかるカインの髪がサラサラとさくらをくすぐった。


「ん……ぁ……ひっ!いたぁ……ぁい……んン……」


 首筋を舐めていた舌が肩の当たりに来たとき鋭い痛みが走り思わず悲鳴を漏らした。

 獣が自分のものだと主張する様にギリギリと歯を立ててさくらの柔らかい肌を噛んだ。カインはほんのり血の味のする唇をぺろりと舐めた。

 さくらの中に埋められたままの欲望がまた首をもたげ質量を増していく。

 ぐちゅ…とさくらの体を繋がったまま身体をひねり四つん這いにさせるとゆるゆると腰を使い出した。

 カインは背中に手を這わせ肩甲骨を愛しそうに撫でた。

ぱちゅんっぱちゅんっと先程だした残滓が泡立ちながら糸を引いてシーツに吸い込まれていく。


「カ……ッカイン……んっああん……ぁぅ……ふかい……っ」


「さくら……っすきだ……お前を誰にも渡したくないっ……」



「ん……っ……ぁわ……わたしも……カイン……」


「嘘でもいい。今だけでも……俺のもの……っ」


パンパンと音を立て肌がぶつかりあう。

激しい責めに小さなさくらの体は軋んだ。いつ終わるともわからない責めはさくらが気を失っても続けられた。




 ようやくさくらの体から欲望を引き抜いたカインはドロドロに溶け、さんざん擦られ赤く腫れたさくらの蜜壺を愛しそうに撫でた。

 身体中にカインがつけた証が散り、首元にはくっきりと歯型が痛々しく浮いていた。

 運命の番だった場合お互いに首筋をかめば、首筋から魔力が流れそこに解けない契約紋が浮き出る。

 すりっと歯型をなぞる…早く出てくれ。


――――――その時だった。


 ドタドタ!と、部屋の外で足音が聞こえ、乱暴にカインの部屋のドアが蹴破られた。

 そこには怒りの表情をしたカイザーが立っていた。


 うつ伏せになり気を失っているさくらにかかったシーツをさっとめくり、その凄惨な状況を目の当たりにしたカイザーはぐっと眉を寄せるとつかつかと歩み寄りカインに詰め寄り頬を思い切り殴った。


「っ……ぐっ」


「悪いことをしたとはおもわない。おまえはそれだけのことをした」


「……さくらは……おれの運命だ」


 カインは口の中か切れたのか唇の端から血を流し顔を歪め呟いた。


「カイン。お前がさくらに惚れたのはかまわない。だが……俺もこいつが運命だと感じた」


「は……!?どうゆう……ことだ」


 カインは驚愕し目が見開いた。


 カイザーは遊びでさくらに手を出したとおもっていたからだった。自分の番を手篭めにされたと思い嫉妬にかられさくらを手酷くさくらを犯してしまった。


「わからん。通常なら番は唯一のはずだ。この世界のものならば……。カイン、なにかさくらから聞いていないか」


 少し考えるとカインは眉を寄せを重い口を開いた。


「……さくらはちがう世界から来た……と」


「なるほどな……それによって理が歪められたのかもしれんな」


カイザーが呟く。


「とりあえず、さくらは俺のもとで治療させる」


「なっ!」


「口答えは許さない。だが、このことに関してはおれも個人の思いだけで動く事はしない。しかも……」


 カイザーは少し言い淀むと重い口を開いた。


「カイン……さくらの属性は全てだった。色は黒がでた……」



「……!?」


その事実の重大性にカインは絶句してしまった。


「俺が……国が守らねばさくらはあっとゆう間に戦禍に巻き込まれるだろう」


「お前が運命だとゆうことも考慮する」


 カイザーはちらりと噛み跡を見つめた。


「とりあえず、さくらが回復したのちお前を呼ぶと約束しよう。その間さくらに許可なく触れはしない」


「っ……わかった……」


 カインは下を向き苦しげに声を漏らした。


 そんなカインの横を通り過ぎ、ベットに沈むさくらにシーツを巻きつけそっと抱き上げた。

 疲れ切って青白くなった頬にかかる髪をそっと肩に流してやった。


「カイザー……すまない……さくはを頼むっ」


自分ではいま理性を抑えることができず大きくさくらを傷つけてしまう可能性をカイザーが危惧してくれていることを感じ取り頭を下げた。













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