第31話

朝の光がさくらの顔に降り注ぎ、ふと瞼をあけるとぼやんとした瞳を擦った。ん……? 横に誰か寝ている事に気がついた。


そこには半裸になったカイザーが寝息を立てて寝ていたのだ。

起き上がり叫びそうになる口を自分の手で押さえた。

さくらはぱっと自分の姿を確認しナイトドレスを着ていることにほっとする。


昨日ソファーで話をしていたとこまでの記憶しかない……何かあったとゆうわけではない、とはおもうけど同じベットに寝ていることに対してずんっと罪悪感が襲った。ぐるぐると考えていると後ろから腰に腕がまわされ、引き寄せられた。起き上がっていたため反対向きの急な力に仰向けにぽすんとベットに引き戻された。


「目が覚めたのか……体調はどうだ?」


腕枕状態で見下され、状況に顔に熱が集まる。

超絶美形の腕枕とかなんだこれ。眼福すぎてやばすぎる。好意とゆうよりアイドルを見ている感覚に近かった。


「あっ……うん……大丈夫。ごめんなさい。ここまで運んでくれたの?」


「あぁ。気を失ったから様子を確認するために側にいた」


「ありがとう。忙しいのにごめんなさい」


さくらは申し訳けなくて目を伏せた。


見下ろしていたカイザーの手が動きさくらのドレスをクイッと引っ掛けた。

つぅ…とさくらの鎖骨に指を這わしながらカイザーが口を開いた


「カインか?」


何を言われているのか一瞬わからなかったが、察してしまい耳まであかくなる。それを肯定ととったのか


「……俺ではだめか?」


少しトーンの落ちた声で問いかけられ、


「ごめんなさい……」


カインを思い出しそうつぶやいた。


「まぁいい。お前を俺のものにするのには力づくで奪ったりはしない。俺を愛するようにおまえを振り向かせてみるのも一興かもしれんな」


と意地悪い笑みをうかべながらさくらの唇にチュッと唇を重ねた。


なっ! なっ! っと慌てていると、


「いやではなさそうだな。俺にも望みがありそうだな」クスクスと笑いながらベットをおりた。

さっと椅子にかけてあったシャツを羽織り、


「まだ寝てるといい。俺は執務にもどる」


とカイザーは身を翻し寝室を退室した。


「どうしよう……ちゃんと断ったけどキスを……されちゃった。これって浮気……かな」


そんなつもりも無いし、受け入れるとか考えられない。けど、真剣にせまられたら自分がきちんと拒否できるのかわからなかった。自分がこんな優柔不断なんてと頭を殴られたようなショックをうけた。

でもこれは決してさくらのせいではないのだと思う。知らない世界に飛ばされ一人でいる所を人に優しくされる。それは防衛反応であって決しておかしいことではないのだから。

カインに対してもひなの刷り込み現象かもしれない。けれど幼いさくらにはまだそれがなにかは到底判断つかなった。



そんな中王宮内は蜂の巣をつついたような騒動に陥っていた。カイザーがさくらの居室で夜を過ごしたとゆう噂が宮内中にしれわたってしまったからだ。


そんな噂をカインが耳にしない…なんてことはなかった…


そしてもうひとり……憎悪を瞳にやどした人物がいた。それはカイザーを心から愛しているローズマリーその人だった。ローズマリーは窓をみつめ持っていた扇をバキリと折った。





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