第30話
黒……真っ黒だった墨汁のような……
「黒……ねぇ……カイザーこれは……」
「やはりな……さくらお前は全属性が使えるとゆう事だ。黒はこの世界で俺はまだであったことがない。しかもこれだけ濃い色とゆうことはそれだけ魔素の量も膨大とゆうことだ」
色とゆうのは三原色を混ぜていくと黒くなる。昔美術の授業で習った気がした。
すごいこと……よね。カイザーが眉を寄せて険しい顔をしていた。
強いなら強いほどいいんじゃないの?と首を傾げると、
「全属性がつかえ最強とおもうかもしれないが、これは諸刃の剣でもあるんだ。攻撃をされさくらが大きく傷を負った場合さくらを助ける魔法はおそらくは効かない……同等の魔力かもしくは違う属性の魔力なら回復できるが、さくらはそのどれもに当たらない。さくらが自分に対して回復魔法をつかうことも自殺行為になる。自然治癒力にまかせるしかないんだ」
「そんな……」
と言葉をつまらせたが、
「要するに大きな怪我をしなければいいってこと?」
「極端にいえばそう……だがその力を欲するものはおそらく後をたたないだろう。国での争奪戦になりかねない。過去には生きているだけでいいとゆう理由で手足を切断された高位魔術師もいたくらいだ……さくら……おれはそんなことはするつもりはない」
手足を……と残酷な光景を想像しブルリと震えおもわず両手で肩をだいた。
そんなさくらを見つめ安心させるかのようにぽんっとあたまに手を置いた。
「安心しろ。我が国がお前を守る」
そんな大層なものになった実感もなく、キャパがオーバーしてしまったさくらは緊張がピークになったこと疲れもあり気を失うように意識を失ってしまった。
ぐらりと傾くさくらの体をカイザーは慌てて支えた。
胸ににもたれかかったさくらからふわりといい香りが漏れた。気を失った顔を見つめると伏せられた目元は血の気が引いて青白くなっていた。そっと肩に手を回し、寝室に運ぼうと持ち上げた時に身じろいだせいで、はらりとストールがゆかにおちた。細い首と綺麗な鎖骨が露わになった。
ナイトドレスからのぞく豊満な胸にカインのつけた証が白い肌に花を咲かせるように散らばっていた。先を越されたことに気付き、ぐっとさくらを抱き締める手に力がこもった。
寝室に入りベットに横たえるとさくらの顔色は少しだが戻り小さな寝息をたてていた。
そんなさくらをカイザーはじっと見つめ、頬を愛しそうになでた。
カイザーは小さく寝息を立てる唇に指を這わし、柔らかな感触を確かめるようになぞっり、そっと唇を重ねた。
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