第21話

ドサリとベットに降ろされ、きゃっと小さい悲鳴をもらした。

まずい……さくらは自分がされるかもしれないことを予感してすかさずベッドを降りようとした。


だが、カインの大きな体にさえぎられあっけなく両手を頭の上にまとめられた。


「やめて。ほんとになんでこんなことするの? わたしは娼婦じゃない、意味がわからない」


キッとカインを睨むと

カインはいままでだまって閉ざしていた口を開いた。


「あいつみたいなやつが……好みか……? それとも王がいいのか?」


苦しそうにカインがつぶやいた。


「え……? あいつ?」


「ラスル」


「ちょっ……まって司書長とはそんなんじゃなくて魔術の本について話をしてただけで……」


「手を……握り合ってた……」


「あっ……あれはちょっとそのまえにゴタゴタがあって不安になってたのを心配してくれただけで……」





「………」


カインはじっとさくらの瞳をみつめた。少しだけ理性が戻ってきたのかカインの瞳孔は普通にもどってきていた。


「で、なんでカインはこんなことしたの?」


そういうとカインの目元が赤く染まった。カインはすっと目線を外しふいっと横を向いた。


「さくらっ……おれは……おまえに……惹かれている。こんなっ……ことははじめてで……」


と切れと切れに言葉を漏らすカインに


「へっ? ……っ。す……すき? ってこと?」


かぁっと顔が赤くなったのが自分でもわかった。



「え……えっと、ひとまずまだカインのことも何もわからないし、好意がないわけじゃ……ないから……でもっ! こんなむりやりは……やだ」



「出会ったばかりでもお前は多分おれの運命の番だとおもう。一目あった時から強烈に惹かれている。今すぐ俺のものにしたい。そして誰にも触らせたくない」


さくらはまっすぐな真剣な目にクラクラしてしまった。

こんなこと言われたのは生まれてはじめてだった……。

一目惚れ、一日でこのひとだ! っておもって結婚までいく人もいるからありえない話ではないんだよね……?

現におそらくわたしも惹かれている。カインからの口づけは気持ちよくて頭の芯が痺れるような感覚に落ちる。初めて出会ったときもカインにもう一度会いたかった。


「おれはもうこの先さくら以外いらない。俺のものになってくれないか?」


正直流されてる、とゆうかもしれない。けど、直感を信じてもいいかもしれない。

手をおさえられているので真っ赤になった顔だけをカインから背けてコクンと小さく首をふった。


その途端ギュッとカインに愛しそうに抱き締められた。




「大事にする……さくら……好きだ……」


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