第20話 ***

「ねぇ……カイン? どうしたの? やめて! 痛い! お願い止まって話をして?」


だが、カインの耳には全く届いてないようで冷たい横顔がちらりと見えただけだった。


そもそもなんでカインが図書館にきたのか? こうして無理やり連れ出されたのはなぜなのか? 全くわからない恐怖にぶるっと寒気がした。

カインの態度に不安になり問いかけても歩みを止めてくれない。歩幅が違いすぎるせいで速歩きになってしまう。慣れないドレスを着ているせいもあり息があがる。

それでもぐいぐい引っ張られ王宮内を抜け、石造りの建物が目の前に見えた。さっきナタリーが言ってた騎士の宿舎? とぼんやりおもいだしているとぐいっとよりひっぱられ奥の部屋に無理やり中に押し込められた。

鍛えられた体躯のせいで力では全く敵わない。片手でカチャリと鍵を締める音がシンっとした部屋に大きく鳴り響いた。カインは私を引っ張る腕に力を込めて抱き寄せ、いきなり獣の様にさくらの唇を激しく奪った。


「んっ……ふ……ぁ……やっ……いぁ……んん」


グチュっと分厚い舌がさくらの舌を絡め取り激しく吸われた。


「やっ……やめっ……ぁ……ん……っ」


顎と腰をがっちりつかまれ上をむかされ貪るように口内を犯される。

溢れた唾液がだらしなく首を伝い、息をつくことができない体はボゥっと熱をもったように火照りだした。

突っ張った腕でどんどんカインの厚い胸板を叩いたが、全くびくともしない。

さんざん貪られ、名残おしそうに離された唇からはお互いの口を伝うように唾液が銀色の糸を引きいやらしく垂れた。

やっと離してくれたときには

はぁはぁと息があがり、目元は火照り上気してありえないほど淫媚な色変をかもしだしていた。

そんなさくらを見下ろしながら抱えていた腰に力が入り

そのまま奥にある寝室にかかえるように抱き上げられた。




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