第19話

しらないことだらけ。いつかほんとに危険なことに巻き込まれるかもしれない。

私がここにいてもいいんだろうかと、しょげているとラスルがそっと手を包み込み、


「さくら様。私がいる間はおそらく大丈夫だとおもいます。もし変わったことがありましたらすぐにおっしゃってくださいね」


そういって柔らかく微笑んでくれた。


「はい。私ちょっとわけあって色々なことがわからなくて、なんでそんなこと?てゆうような事も聞くかもしれませんが宜しくお願いします」


そう言うとラスルは微笑んで小さく首を縦に振ってくれた。


「わかりました。あまり訳はきかないので安心してくださいね。なにかお聞きになりたいことはございますか?」


「え……っと、この魔素の器ってどうやってわかるんですか?」


「そちらは成人の儀式の際に判別の瓶にはいった水に手を浸します、主に貴族が中心ですね。平民では稀にでる魔素をもっていることがわかって初めて判断されます。さくら様は……されてらっしゃらないのですね。おそらくですが、王が準備されると思います」


「そうですか……わたしも魔法がつかえるので一度はかってみたいんです」


「さくら様の属性はなんでしょうね」


「属性……?」


「あぁ、属性とゆうのは主に火、水、光です。そこから魔素の強さなどで火を炎に。水を濁流に、光は雷になったりするんです。判別の瓶ではっきりとわかるはずですよ、水と光の究極派生に治癒があります。これはかなり稀な属性ですね」


「……わかりました」



…!!?


まって……私が全部できてない?


乾いた笑いがでてしまう。チート過ぎないかな……。


ま、まぁ出来ても大したこと出来ないし、大丈夫よね。

ラスルとそんな話をしていたときだった。

コンコンと叩かれる音ではっとドアの方を振り返った。


そこには騎士服に見を包んだカインが立っていた。

カインはすこし眉間にシワを寄せ私の手元をじっと見ていた。

手元…はっ!ラスル司書長さんがまだ握ったままだった。

ぱっと手を上に上げるとスタスタと部屋に入ってきたカインは私の手首をぐいっと掴んで立たせた。


「いっ……!」


急に引っ張られたので捻れた腕が軋んだ。


「カ、カイン?」


黙っているカインを下から眺める。私の腕を掴んだまま一切何も言わないまま踵を返し、部屋を出ていこうとするカインのうでをぐいっとひっぱり返した。


「ちょっ! ちょっとまって! カイン! なに?まだ本を……」


「こい……」


カインの低い声に、ひくりと背筋が伸びる。


「あ、あの……ラスル司書長さんすみません、ちょっと……あぁ……また来ます!」


何かを叫びながらズルズル引き摺るように部屋から拉致されてしまった。


ラスルも眉をさげ、その一連の流れを見つめ溜息をついて黙認した。

嫉妬……ですね。







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