第17話

「ふっ……わぁ……」


ふわふわと地に足がついていないような気持ちいい感覚に思わず息がもれた。


〘へぇ……すごく変わった魔素だね。でもとても心地いいね〙


そう言うと小さく何かを唱えてゆっくり手を離した。


「ん……っ」


針を刺したようなぴりっとした感覚が指先から流れる。


〘こわいことしたんじゃないよ? まぁまたゆっくり話しようね。お邪魔虫がきたみたいだし。あっ! まだぼくのことヒ・ミ・ツだからね〜〙


パチリとウィンクして窓の光に吸収されるように彼の姿は消えた。

その直後

ばん! っとドアが乱暴にあけられた。


「「さくら様!」」


血相を変えたナタリーとラスルが中にはいってきた。


「ご無事ですか!?」


一体何が??とキョトンとしていると、


「この部屋に強力な結界がはられていたのです」


ラスルが肩を持って問いただしてきた。


「誰かこの部屋にいたのですか!?」


ナタリーもまだ顔色は悪い。


「えぇ……っといたような、いなかったような……んっ」


しどろもどろになりながら話す私を二人は怪訝な表情で見つめてきた。


「なにか言えないようなことなのですね……なにかされた……とかではありませんね?」


ラスルははぁ…とため息をつき、諦めたように眉をさげそれ以上は問い詰めることはしなかった。


「あ! はいっ! 大丈夫です」


「とりあえずこの事は王に報告させていただきます。さくら様居室にお戻りになられますか?」


「えぇ!? まだ来たばったりだし……もう少しいたいんだけど……」


「わかりました。私はが王に報告に行ってきます。ラスル司書長こちらでさくら様の護衛をお願いしてもよろしいでしょうか?」


ナタリーはそう言うとさっき礼をして部屋を後にした。


えっ!?


と戸惑う私に、


「さくら様。ナタリーが私に任せたのはこちらが私が管轄する王立図書館だからです。こちらでの護衛は私の方が適任だと判断したのでしょう。ご安心ください。こう見えても高位魔術をつかえますので」


そうなんだ……ナタリーより強い。うん、すごいんだろうな。


「わかりました。では宜しくお願い致します」


そういって、再びソファーに腰をかけ本に集中することにした。

本には魔法の基礎的なものが書いてあった。幸いなことにこちらの文字は読めるようになっていた。

魔法とは体の中の魔素を使って行使するものらしい。減った魔素も時間と共にもどる。しかし、急激に使った魔素は生命力にまで影響を及ぼしてしまうほど危険につながることもある。

魔素の器は人によって大小様々であるが基本的に生活に支障がない程度の魔素の器しか大半の人は持っていない。まれに魔素の器が大きな人物が現れるがそうゆう人物は貴重で王宮魔術師として城に召しかかえられたりするそうだ。

それよりでかい器。それこそ世界中さがしても数人いるかいないか。そんな人物が稀の稀に現れるがそれは魔女や魔王と呼ばれる…そうだ。

なぜならほぼ無尽蔵な魔術を行使できる。

ふむふむ……わたしはとりあえず魔術師?くらいなのかな。

どうやってこの魔素の器をはかるんだろう。とペラペラ本をめくっていると、痛いほど突き刺さる視線に顔を上げた。


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