第15話

王宮内は広く、とてもじゃないが一日でまわることは不可能だった。王族のみ立ち入れる区域。貴族階級の人々が自由に出入りできる区域。王立図書館や温室、赤や白の薔薇が咲き乱れる広大なローズガーデン。

騎士団の演習場。魔術師たちがいる館など。とりあえず順番に見て廻ろうとゆうことで歩を進めていると、前方から色とりどりのドレスをきたきらびやかな軍団がこちらに闊歩してきていた。


「さくら様。あちらの方々先頭に立たれているは王の側姫に当たる方です」


ナタリーが耳打ちをしてくれたた。

さくらの目の前まで来て止まるとパサリと扇で口元をかくして話かけてきた


「あら? ごきげんよう。わたくしマークベル公爵家のローズマリー・ディ・マークベルですわ。あなたのお噂はききましてよ?これからどうぞよしなに」


そっと左手を出された。

それをみたナタリーは眉を寄せる。

何もわからず手を出して握手すると、取り巻きの女性たちはクスクスと嫌な笑みを浮かべた。


「わたしはさくらです。暫くお世話になりますがどうぞよろしくお願いします」


「あなた陛下の寵姫だといわれてるみたいね?」


そう云うとローズマリーはつま先まで品定めするようにさくらをみた。


「いえっ! そんな、ちがうんです。寵姫だなんて滅相もないです!」


「ふん……まぁいいわ、またお茶にでもお呼びさせていただいても?」


「は、はい! よろこんで!」


「では、また……御機嫌よう」


そう言うとさくらに背を向け建物の中へ消えていった。

すっごい美女だったぁ……ほんとにボン・キュッ・ボンを地で行く感じで自分の胸をちらりと見下ろした。

真っ赤な髪はゆるくウェーブしハーフアップがとても似合っていた。どこか冷たいかんじだったが目鼻立ちははっきりしていて気の強そうな眉がより一層美を高めていた。

取り巻きか、侍女かわからないがその方々も綺麗だったが郡を抜いていたのはまちがいなかった。


「さくら様。差し出がましいかもしれませんが、ローズマリー様はお気をつけください。王にとても執着されていますので、寵愛がさくら様あることを快くおもわない可能性がございます。決して一人で誘いに乗らぬようお願い致します」


顔色を変えず淡々と話すナタリーにコクコクと首を縦に振った。


「では、参りましょうか?」


「はい! もし行けるなら図書館に行ってみたいのだけど」


「わかりました。ご案内させていただきます」


そう言ってまた図書館にむかって二人は歩をすすめた。




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