第13話

どれくらい時間がたったのか、カインが抱きしめてくれてることが少し恥ずかしくなり、照れ隠しで話かけた。


「あ……えと、ありがとうカイン。ちょっとお母さんを思い出して」


ぐっと腕をつっぱってはなそうとしたけど、あれ?動かない。息苦しいような抱擁ではないんだけど、なにやら背中に回していた手の触り方が……


「カ、カイン?」


くいっと顎をもたれて上を向かされる。

カインの長い指がさくらの唇に触れる。

確かめるように何度も……

くすぐったくて、ん……と口をつぐんだ時だった。


「さくら……」


カインの吐息とともにさくらの唇は塞がれた。


「ん……ふ……くぅ……ぁ……」


ちゅっとリップ音をたて何度も啄まれる。さくらを味見するかのように唇をカインの舌がつたう。

徐々に深くなる口づけ。


「ぁう……んん……はぁ……んく……」


息もつかせないような激しい口づけにさくらの酸欠で朦朧としていた。


「まっ……まって……んッ……か、カイン……ぁん」


腕をつっぱってもびくともしない。

カインの手がドレスの中を弄り始めたときだった。


コンコン。


「失礼してよろしいでしょいか?」


執事がお茶の用意をしてくれるって言ってたことを思い出したら、

扉を叩く音でようやくさくらの唇から離れた。

くちゅ……っとやらしい音をたて名残惜そうに唇を舐めた。

頬は上気して火照っている。


「残念だ。時間切れみたいだな」


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