第9話
「陛下! その話が本当なら魔女かもしれません。早急に捕獲を!」
魔術師が声を上げた。
「待ってくれ。手荒なことはしてほしくない。こちらに連行する役を私にまかせていただけないでしょうか? 決して手荒に扱ってほしくない」
焦りがカインの顔に浮かぶ。
「わかった。カイン。その者を連れてこい。話をきくとしよう」
「わかりました」
✛✛✛✛✛✛✛✛✛✛
そうして連れてこられたさくらは王と顔をあわせることになった。
さくらを始めて見た時、ふんわりとした小さな少女だ、見た目はまぁ美しい部類にはいるだろう。ただそれだけの感情しかなかった。あらゆる美姫をみてきたカイザーにはさして突出して目に映るものでもなかった。
だが、その後に衝撃を受けた。
王に対しての態度意見。ふつうなら絶対にありえなかった。女は王に媚びてまして意見などしない。多少のわがままはあっても直接ものを申すものなどいなかった。
ふと興味がわいた。毛色の変わった猫を抱いてみたくなった。
結果としては大きく手を噛まれたんだが。
女は俺のものになるくらいなら奴隷になると啖呵を切った。その目はまっすぐに俺の目を見抜いていた。
煌めく強い力の宿ったアメジストの瞳をキレイだと思った。
奴隷印をつけるためこの部屋を後にしたさくらがでていった扉を睨んでいた。
「くそっ! なぜ俺がこんな……」
イライラが募る。チッと舌打し、奴隷印をつけに向かった部屋にドカドカとむかうことにした。そのとき自分がなぜそんな行動にでたのか王自身もわからなかった。
とびらを蹴り上げると、生まれたままの姿で今にも男に触れられそうな距離に佇むさくらを目にし、カッと頭に血がのぼった。
「ばかが!! ほんとに、奴隷になるとゆうことどうゆうことになるのかわからぬのか! 夜ごと男どもに抱かれるんだぞ!」
近づき乱暴にマントをかけその場からさくらを連れ去った。
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