神界を追放された神は、人として異世界を歩む
青緑
第1話、神の仕事は人任せ?
この世界での私は最初の神であり、創造を司る神である。ここは神界であり、私を中心に世界が回っている…という訳ではない。始めは神としての役割を果たそうとしたが、人間の人口が増え、事故が多発してくると面倒になった。そこで私に忠実な部下、デシムを創り、デシムを中心に天使を創り出し、大半の仕事を押し付けた!
しかし私は大きな間違いを犯した。デシムを創り出す際、死んだ人間の魂を霊界へ送るという創造神の最大の役割をデシムに付けてしまった。そしてデシムは私に報告をする以外は外界へ下りたり、神託として裏側の人間に下すといった行動をし出した。私は神界で頂点に君臨する神であるので、彼の行動は全て管理していた。…つもりだった!ある時を境に報告が無い間隔が頻繁に増えだした。私は初めて心配になり、彼のもとへ向かうと下級の神々と共に神殿の前に集まっていた。私はデシムに質問を問うた。
「デシムよ、これは何の集まりだ?それに創造神である余に報告が最近止まっておるぞ!どういうことか説明せよ。」
「主よ。いいえ、創造神トールよ!貴方には神の座から退いていただく!」
「…なんだと?余を…創造神である余を、神の座から落とすというのか?ふん!…できるわけがない、私は…」
「貴方が私を創り出し、その際に神の権限のほとんどを今日まで頂いたこと、感謝いたします。おかげで、貴方を退かせるという計画が出来上がりました!」
「おい!何を呆けているか、このならず者を…デシムを摘み出すのだ!」
「無駄ですよ、ここに貴方に味方する天使も神もおりません。もちろん、創造神トールに仕える者は私のみ!」
「………何…?」
何をデシムは言っておるのだ?この世界の最高神は、余のはず。だが、よくよく考えてみれば余が創ったと言えば、デシム意外となると…この世界の秩序と人間くらいであって、その他は全く手を出さずにサボっていたなぁ。
「トール様。我々は貴方様ではなく、参謀であるデシム様によって創り出された者であります!よって、貴方様に従えません。…申し訳ありません!」
「「「申し訳ありません!」」」
あぁ…どうしようか。今更、何やっても遅いだろうけど、一度くらい我儘言っても良いよね?だって、私は創造神トールだぞ!この世界を創った偉い神なのだぞ、きっと外界でも余を主神として祀られて…いるよな?
あれ?…そういえば始めの頃に数回降臨していて、…デシムを創ってから全く降臨も神託もしてないよね。あれ?…これ、やばくね?ちょっと待って、外界に神殿無かったっけ?
「…主よ。私には貴方の考えている事くらい、お見通しですよ?貴方様を祀った神殿なんて、とうの昔に無くなっていますよ。勿論、その頃の司祭は貴方が来ると信じて1人になっても神殿を守っていましたが、人間なんて寿命があるのですから。それほど経たずに司祭は亡くなり、神殿は当時の国が壊しましたからね。」
「…なんと…」
「しかも貴方様は最高神で有りながら、私に全て押し付けてくれましたしね。ですが、この数百年の間で外界で祀っているのは主ではなく私、デシムなのですから。そして、この世界で信仰され、神と認められているのも私です!」
「で…では私を神の座から下ろし、その後釜に座ろうというのか。なんと愚かな…」
「ふふふ。最高神が代替わりした所で、何も起きません。せめて、この世界の譲渡権が貴方に残るのみ!さぁ、さっさと神の座から…」
「なるほど、そちは知らぬのか。そうか、そうか。」
そう言って、トールは門を使って神界の最奥である部屋へ向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます