第7話

朝起きて。2度寝。だって今日は昼までサボっても大丈夫な日。

めんどい。だるい。私の口癖。

学校一イケメンと謳われる幼馴染を唯一怖がせることが出来て一応自分も学年の女神と言われる18歳の私。青柳由菜。

それで教室着いたら5限始まる30分前になってて(つまり昼休み)、私の幼馴染がふて寝してた。

近くにいた幼稚舎からの友達に聞く。

「なんで若葉寝てんの?」

「あーさっき穂高…」

その友達とアイコンタクト。お約束ですね。

またかよ穂高。最近いい波乗ってんな穂高。

誰がフォローすると思ってるんだ?穂高。

私は若葉のフォロー役。でも私には無い純粋さを持ち合わせたそんな若葉が可愛くて好きだからこの役割は嫌じゃない。


昼休み残り25分。電子辞書借りて旧館戻ったならあそこしか居ないし、多分駿が捕まえて話してるかな。ちょっと締めとこ。

旧館についてすぐ分かったよ。いるとこ。

懲りないね。私にバレるの駿は分かってここにいる。(穂高は馬鹿だから分かってない)

話し声聞こえるけど、今日は珍しく駿が説教してる。いーや、この際立ち聞きしよ。

結構長く話してたけど意外と穂高が考えてたことを初めて知ったかも。

あ、話の流れ変わった。

「強いていえば顔??」

「顔!?」

駿がこっち来いと私の方をぱっと見てきたから出ていった。気付いてたのね、やっぱり。

「なあ?由菜」

駿がふいっと私を見上げてきた。

駿の顔、子供の頃から何回見てきたんだろ。

普段は穂高に隠れて目立たないけど、駿も整ってるよね。実は隠れファン多いの、駿、あんた知ってた?

そんなこと思いながら駿と穂高を見下ろしてたら穂高が怯えながら私を見てた。これ、若葉に見せたいなあ。若葉の前じゃカッコつけて飄々としてる。

でも駿に叱られてたから一言だけにしてあげた。

穂高の顔、最高笑える。私もなかなか趣味悪い。

「あ、予鈴」

やば。午前サボったし午後は出ないと響く。

そう思ってたら駿が言った。

「由菜、もー行きな。こいつ何とかしとくから。午前、サボったろ。午後まで響いたらやばいし」

隣で放心してる穂高を見ながら駿が言う。

「あー、うん。行くわ。じゃ、あと頼んだ」

「おー」

短い答え。


レモンティーの香りがする。駿の好きなやつ。

なんでサボってんのバレたかなー。若葉が穂高に甘いように私は駿には敵わんと思う瞬間がふとある。

でも果たして私のこの感情は若葉が穂高に穂高が若葉に向けるものと同じなのか分からない。

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