首獲ったり

 ここまでのあらすじ。

 夜中に寝付けず不意にクレープアイスを食いたくなったので散歩がてらコンビニに行ったらば、強盗に遭遇しアイスを台無しにされキレる。

 在庫が強盗を制圧したコンビニに無いので、新品のクレープアイスを最寄りのコンビニへ買いに行くことにした私は、その道すがら吸血鬼に遭遇する。

 何じゃこれはふざけてんのか?


 閑話休題。


「クソが! 逃げんな!」

 そのライダーの頭を素手で掴みそのまま引っ張ってやると、スーパーカブは固定ロックされたライダーの頭を支点にウィリーを派手に決め、勢いで吹っ飛び空中で一回転をキメ着地、全損のデスコンボを繰り出す。

 片手で持ち上げられた吸血鬼はジタバタ暴れるので。

やかましい動きすな!」

 私の絶叫と共にアスファルトへ思きり叩きつけてやる。

「ぐげぇ」と鳴く吸血鬼が不覚にも手からすっぽ抜け、ワンバンして前方5メートル先の国道へ放物線を描き吹っ飛び、空中でその躰を5トンダンプが跳ね飛ばす。

「あちゃ~やっべ~」


 5トントラックは意も解さずとそのまま吸血鬼を轢き逃げて、テールランプの残光を残し猛スピードで消えていった。

 やっぱり恐ろしい街だなここは、法が許しても仏が許さんだろ。

 この世の終わりか?


 さて吹っ飛ばされた吸血鬼も全損していることを期待したのだが甘かった。

 奴は肉片すら遺さず消えちまった。

かすみだかコウモリだかになるんだっけか吸血鬼、つうことは大陸から渡ってきたタイプか?」

 人外の手合いなぞ半年ぶりだ。

 勘がイマイチ鈍っていかんな。

 しかし私は処女ではない。

 奴からのターゲットにはならんか……。

 まて、今わたしは中坊だ!


「……ちきしょう……しくじった」

 チョンボだ。

 吸血鬼の牙がもたらす厭な感触が首筋を襲った。

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