第14話 幽霊じゃなくて妖精屋敷調査を開始しました
玄関、応接間をアタシがサーチスキルを発動させて調べてみるけど異常なし。
妖精の粉も扉以外は見当たらなかった。
アウラさんも此処は気配が全くないという事で別の部屋、冒険者達が怪奇現象(家妖精の悪戯? と言っていいのか)に遭った部屋に行くことに。
此処に来る前、カレンさんから貰った屋敷の見取り図、幽霊を見たという冒険者達から聞いた幽霊の目撃情報などが書き込まれた見取り図を取り出して何処に行くかを話し合う。
「此処から一番近いのは厨房か、ナイフやフォークが浮かんで自分達に向かって飛んできた、ありきたりだな」
「二番目に近いのは書斎ね。本が浮かんで飛んできたのと書斎机にいつの間にか見知らぬ老人が座っていて話しかけたら消えた・・・・・・、幻覚を見せる妖精も居るみたいね」
「一番遠いのは二階の屋敷の裏にあるバルコニーですかね? 踊っている若い男女を見た、一番平和そうな怪異ですね」
何処に行くかと悩んでること数分、最初に口を開いたのはイヴァンさんだった。
「う~ん、とりあえず最初は厨房に行くか。近いし」
「そうね、一番近い所から順に行きましょう。フロルちゃんもそれでいい?」
「はい、大丈夫です」
行く先が厨房、近い所から順に行くことが決まり立ち上がった瞬間。
ビュンっという音と共にアタシの頭スレスレに椅子が飛び、壁に盛大にぶつかった。
「さっき、椅子がアタシの頭スレスレに飛びませんでした?」
「ええ、飛んだわね・・・・・・」
「ああ、見た。椅子が飛んで壁にぶつかるのを見た」
突然の事にどう対処すればいいのか解らなくて、その場で固まってると「構えろ!!」とイヴァンさんが叫んだ。
辺りを見渡すと、応接間にありとあらゆる家具が宙に浮かんでいた。
あれだけ静かだったのに急にどうして!?
「気をつけて! 妖精の気配が濃いわ! 恐らく百匹以上の
「ひゃっ、百匹以上ですか!?」
「これだけの家具を家妖精が動かすとなるとそれなりの数になるわ、自然界に生きる妖精と違って家妖精の魔力は弱いの・・・・・・、キャッ!!」
話してる途中にアウラさん目掛けて鏡を飛んできた。
鏡って殺意が高い!! いやアタシの頭スレスレに飛んできた椅子も殺意が高かった!! 妖精ってこんなに悪意がある存在だったけ!? 読んだ本と全然違うんですけど!?
今は動揺してる場合じゃない!! 冷静にアウラさんが怪我してないか確認しないと!!
「アウラさん! 大丈夫ですか!? キャアッ!!」
今度はアタシ目掛けて鏡が飛んできた、けどイヴァンさんが双剣でスパッと斬ってくれた、助かった・・・・・・。
イヴァンさんに御礼を言うと。
「御礼は後だ! 今は此処を乗り切るぞ! フロル! 出来る範囲で支援を! アウラさん! 妖精に詳しいアンタなら、何か策とか浮かばないか!?」
「あるわよ! 光魔法で此処を明るくさせれば、その眩さで家妖精達が驚いて止まるかもしれないわ!」
イヴァンさんの問いに答えたアウラさんは弓を構えて矢に魔力を込めようとするが、それを邪魔するように、いや邪魔する為に家具が飛んでくる。
これじゃあ、アウラさんが集中できない。此処はアレを使うしかない!!
そう思ったアタシはカバンからボール状のアイテムを取り出し、それをアウラさんに向かって投げた。
アタシがアウラさんに向かって投げたもの、それは・・・・・・。
「結界?」
アウラさんを守るように結界が貼られる。
よし!! 結界ボール大成功!!
アタシが投げたアイテム、結界ボールは一定期間だけど結界を投げた先で展開出来るアイテムで守りの魔石と白魔術スキル・
フフ、アイテム作成スキル・中級を取った甲斐があったぜ!!
本当は白魔術スキル・結界を取ろうとしたんだけどアタシのレベルじゃ取るのは難しいから諦めた。
「これで邪魔されない筈です! もし結界が破れそうだったら、ドンドン使いますので安心してください!! 在庫は沢山ありますから!!」
アタシはカバンからドサッと結界ボールを出す、この白い小さなカバンに入りきらない程の量を。
実はこのカバン、レナードさんから「これフロルに必要なものだと思うにゃ」と貰った無限に物が入るカバンなのだ、無限に入るだけじゃなく自分が欲しいと思うだけで簡単に取り出せるという非常に便利な代物。
嬉しさの余り使えそうなアイテムをたっくさん作って入れた。
レナードさん、ありがとうございます!!
「え、ええ、あ、ありがとうフロルちゃん」
あれ? 引かれてる? なぜ?
「アウラさん! 今は引いてる場合じゃない! 早く矢に光魔法を!
フロル、お前はアウラさんの支援だけに集中しろ! お前に飛んでくる物はオレが片っ端から斬る!!」
緊迫した空気から変な空気になりそうだった所をイヴァンさんの指示で緊迫した空気に戻り、アウラさんは矢に魔力を込めるのを再開する。
イヴァンさん、ナイス!! だけど最初の引いてる発言はいらないと思います!!
「出来たわ!! 二人とも目を瞑って!!」
イヴァンさんの指示通りに動くこと数分、アウラさんが魔力が十分に溜まった矢を放つ。
目を瞑っていても凄く明るい、これなら!!
『チュー!!!!!!』
部屋中にネズミの声が響くと大量のネズミが姿を現した。
ネズミ? 妖精じゃなくてネズミ?
「この子達は家妖精の一種、ブラウニーだわ」
「このネズミ達、妖精なんですか!?」
「ええ、大きめの茶色い体毛のネズミ型の家妖精で裁縫を一番の得意としてる子よ」
説明しながらアウラさんはブラウニー達の中で一際大きいブラウニーの首根っこを掴み、ニッコリと笑った。
何をするつもりなんだろう・・・・・・?
「ブラウニーちゃん達のリーダーは貴方ね♪ お姉さん、聞きたい事があるんだけど良いかしら?」
『チュー!!』
「お姉さん達に話す事なんてない? あら~、また明るくさせて驚かせちゃうけどいいの?」
『ちゅ、ちゅ~・・・・・・』
会話してる、エルフって妖精と会話出来るって本で読んだことあるな。
アウラさんはニコニコとブラウニーを追い詰めるけどブラウニーは中々口を割らない、これは長期戦になりそう。
「イヴァンさん、これ長くなりそうですかね?」
「あの様子だと長くなりそうだな。でも、解った事は1つある」
「解った事?」
「ブラウニーのあの様子から無理矢理って訳じゃなくて、しっかり主従関係を結んだ相手からの命令でやったって所か」
「ああ、確かに無理矢理だったらあんなに渋らないですよね」
口を割らないって事はそういう事だ、例え、魔術かなんかで口を割らないようにしても雰囲気や態度で解ってしまうとか。
でも、あのリーダーブラウニーの様子からそんな素振りはないし他のブラウニー達はリーダーが捕まってるからか此方に危害を加えようとする様子はないけど睨んでいる。
睨まれても可愛いから怖くないけど居心地は悪い、尋問、早く終わらないかな~。
「う~ん、お姉さん達はこの屋敷の異常を調査してるの。それが解れば危害を一切加えるつもりは・・・・・・、あら?」
一瞬、たった一瞬だった。
アウラさんが捕まえていたブラウニーが居なくなっていた。
『グルルルルルル・・・・・・』
唸り声が聞こえる。
聞こえた方に目を向けるとブラウニーを咥えた狼のような獣が唸り声を上げアタシ達を睨付けていた。
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