第13話 幽霊?屋敷を調査しに来ました②
幽霊屋敷もののお約束、扉が勝手に閉まり開かなくなるというハプニングが発生。
イヴァンさんが蹴っても扉はビクともしない、不思議な力が働いてる?
「これは完全に閉じ込められたな。アウラさん、何か解るか?」
「・・・・・・・・・・・・」
「アウラさん?」
「これは幽霊じゃないわ」
「幽霊じゃない?」
「これは妖精の仕業よ」
この扉を閉めたのは幽霊じゃない妖精だとアウラさんは断言する。
アウラさんがフッとドアノブに息を吹きかけるとキラキラとした粉が舞った、これは・・・・・・妖精の粉?
妖精の粉は妖精が魔法を使った際に消費した魔力が粉になった物だ。
妖精が住む場所に行けば割りと手に入るアイテムで魔力の痕跡、魔方陣や儀式の後を見つける為に用いられる他、
説明がソコソコ長くなったけど、妖精の粉がドアノブに掛かってたって事は……。
「妖精が魔法でドアノブを動かして閉めたんだわ、あと鍵もしっかり外から掛けてある。お姉さん達を此処から出す気がないみたいね」
「マジかよ⁉️ 妖精は悪戯好きだと聞いたけどよ。これは遣りすぎだろ……」
扉が完全に閉められた事が解るとイヴァンさんはゲンナリしながら扉を見る、確かに悪戯好きにしては閉じ込めるのは遣りすぎだ、扉を壊すしか開ける方法がないなと考えてたらアウラさんは眉間に皺を寄せておかしいわと呟いた。
「アウラさん、おかしいって?」
「フロルちゃん、妖精はね自然を愛し共に生きる妖精と人と共に生き人の為に働く妖精の二種類が居るの知ってる?」
「はい、知ってます。確か、後者は
「フロルちゃん、大正解よ♪」
パチパチと拍手を送られる。
誉められるのは嬉しいけど、さっきの質問とアウラさんが言っていたおかしい事と関係あるのだろうか?
森に住む妖精と家に住む妖精、住む場所が違うだけじゃないの?
「フロルちゃん、森に住む妖精は人間に悪戯するのが好きだけど、人工物、特に鉄は大嫌いだから人が住む場所に一切近寄らないの。
逆に家妖精は人間の為に働くのが大好きだから常に人が住む場所に居て、人間が嫌がるような事は絶対しないわ」
え~と、つまり、悪戯好きの森の妖精は人工物が嫌いだから人が住む場所には近寄らない逆に人間大好きな家妖精は人が住む場所に居て悪戯はしないから……、そうか、そういう事か。
漸くアウラさんが言ってたおかしい事が解った‼️
「此処は人が住む場所だから居るのは人間大好きな家妖精、それなのに人間であるアタシ達を閉じ込めるのはおかしいって事ですね‼️」
「フロルちゃん、大大大正解‼️」
今度は頭を撫でられる、嬉しいけど恥ずかしい。
でも、アウラさんはエルフだから人間じゃないような……、まぁ、細かいことはいいか‼️
「で、その家妖精がどうしてオレ達を閉じ込めたんだ?」
アタシとアウラさんのやり取りを黙って見ていたイヴァンさんが渋い表情で口を挟む。
おかしい事が解っても原因がまだ解ってなかった、誉められて喜んでる場合じゃないじゃん、しっかりアタシ‼️
「イヴァンちゃん、そんな顔しないで~、ちゃんと考えてるから♪
お姉さんの憶測になるけど、この屋敷の家妖精は何者かによって操られてる可能性があるわ」
「ハァ⁉️ もしそれが当たってるなら、依頼人が家妖精を操ってるって事か⁉️」
アウラさんの憶測にイヴァンさんが驚きの声を上げる。
それがほんとだったら、依頼人は操った家妖精を使って冒険者達を驚かせてたって事? 偽の討伐依頼を出してまでやることかな?
「其処までは解らないわ、もしかしたら依頼人が言ってた屋敷に居着いたモンスターかもしれないわよ」
「じゃあ、屋敷内を探索して手掛かりを見つけましょう‼️」
「フロルちゃん、お姉さんと一緒に頑張りましょうね♪」
「はい! 頑張ります‼️」
「さて、アウラさんもフロルもやる気満々な所で屋敷内の探索始めますか」
「「オー‼️」」
──────
『何処から調べますか?』
『手始めに、オレ達が居る部屋を調べるか』
大きめな水晶にフロル達の姿が映る。
それを深い緑色のソファーに腰掛け、見ている存在が一人。
「彼奴が寄越してきた今回の刺客、随分と変わった奴等だな。厄介な事に妖精に詳しいエルフ付き、今回は追い出すのに苦労しそうだ」
『クゥン』
ソファーに腰掛けた人物はいつも通りに追い出すかどうか思案していると寄り添うように傍に居る狼のような獣が大丈夫なのか? と心配そうに鳴くから安心させるために笑顔を向け、自慢のもっふりとした毛を堪能するように撫でる。
「心配するなよ、厳しいかもだけど今までみたいに追い返すさ。
さて、様子見も兼ねていつも通りでやるか。我が元に居るブラウニー達よ、お客さんをたっぷりともてなしな‼️」
『チュー‼️』
傍に控えていたネズミの姿の家妖精──ブラウニー達が声を上げた。
それに気をよくしブラウニーのリーダー各の頭を撫で励ましの言葉をかける。
「頑張っておいで、御褒美は美味しい美味しい角砂糖をあげるから頑張りな」
『チュー♪』
御褒美の話を聞いたブラウニー達は喜びの声を上げながら散り散りに散っていくと獣がマントを引っ張った。
自分もフロル達の元に行きたいという意思表示だ。
『グルッ‼️』
「お前も行きたいのか? ダメだ、お前は切り札なんだから」
『グルゥ~……』
「落ち込むなよ。でも、まぁ、今回は強そうな奴が居るから出番があるかもしれないな」
落ち込む獣を優しく撫でながらフロル達を映す水晶に目をやるとニヤリと笑う。
「さて、凛々しい顔が恐怖に染まるか、それとも……、フフ♪
今回は今まで以上に楽しませてくれよ、刺客さん♪」
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