謎の屋敷調査編
第12話 幽霊?屋敷を調査しに来ました
鬱蒼と生い茂る森、その中に建てられて二百年は経っているという屋敷へとアタシ、アウラさん、イヴァンさんは調査へとやってきていた。
「うわ~、本当にボロいな」
「そうですね、こんなにボロボロだと床とか壊れそうですね」
「そうね~、危ないわね」
「アウラさん、外から見て何か解るか?」
「ん~……、今のところは霊的な存在が認知出来ないわ。
とりあえず、中に入りましょう」
そう言ってアウラさんは屋敷へと入っていくので慌ててイヴァンさんと一緒に後をついて行く。
アタシ達が此処に来た理由、それは任務を受けこの屋敷を訪れたパーティーが泣きながら帰ってきて「幽霊が出た」と騒いだから調査しに来たのだ。
――昨日(回想開始)。
冒険者ギルドは冒険者の管理が主だが冒険者の生活を支えるのも仕事、村人から貴族まで幅広い人達から来る任務を受け付け冒険者達に斡旋しダンジョン以外にも収入が入るようにして生活を支えている。
今回、その任務で問題が起きた。
「一時間ぐらい前、屋敷を建て直したいがモンスターが住み着いて退治してほしいという討伐任務を受けたパーティーが泣きながら帰ってきた、幽霊が出たと言いながらな」
本部にある治安維持部隊拠点にて、カレンさんが真顔で報告する内容にアタシはなんじゃそりゃと思った。
任務で幽霊が出たと泣きながら帰ってきたなんて、信じられない。
「確かに信じられないかもしれないが、この任務、幽霊が出たと言って帰ってきたパーティー、これで三組目なんだ」
「はい?」
「最初、一組目はそりゃあないだろうと誰も信じなかった、二組目の時は半信半疑、そして今日、三組目も同じ事を言うのだからこれは何かあると判断されて、我ら治安維持部隊に屋敷を調査するよう命が下された」
三組とも幽霊が出たと言って帰ってきたなら流石に何かあるとアタシも思う。
ダンジョンの次は幽霊屋敷の調査か・・・・・・、幽霊屋敷、その言葉が脳裏に過ぎると小さい頃に見たホラー小説を思い出す、寝れなくなって両親が寝てるベッドに忍び込んだっけと懐かしむ。
いや、懐かしんでる展開じゃないよね、今は。
「今回の調査は幽霊騒動の原因追求だ。
調査の結果次第でこの依頼をした依頼人に違反金の支払い請求、最悪の場合、ブラックリスト入りだな」
「ブラックリスト入り案件なんですね」
「ああ、モンスター討伐と偽って屋敷に居る幽霊のような存在と戦わせる為に依頼したかもしれないからな。
普通、こういう幽霊に関する依頼はちゃんとした祈祷師に頼むもんだ、冒険者に頼むもんじゃない」
どうやら今回の調査は前回と違って単純じゃないみたい、カレンさんが最初、真剣な顔で報告していたのもこれが理由か。
依頼人が絡んでるとなるとこれは慎重にしっかりと原因を突き止めないといけない。
「昔、自分が創った合成獣と戦わせるために偽の依頼をした奴が居た、冒険者を実験動物かなんかと考えて依頼してくる奴も居る。
私達、ギルドは冒険者を馬鹿な依頼から守るのも仕事だ、心してやれ!!」
「姐さん、息巻いてる所を折るけど調査メンバーはどうする? 流石に今回は全員じゃないだろ?
ほら、ウチのメンバーの中に一人、凄い怖がりが居るからさ」
凄い怖がり?
イヴァンさんの視線の先を見ると尻尾を文字通り巻いて物陰に隠れているアッシュさんが!!
「ボクは嫌!! 絶対に嫌!! アンデッドならともかく幽霊は絶対にダメ!!!!!!」
凄い剣幕だ・・・・・・。
そんなに嫌なのか、アンデッドは良いのに幽霊は嫌なのか、アンデッドと幽霊の似たようなものじゃないの?
モンスターマニアのアッシュさん的には違うのかな。
「あ~・・・・・・、アッシュさんは使い物にならないから今回はパス、デンも狭い中じゃ盾技を使えないとなると霊的な存在を認識できるエルフのアウラと小回りがきくイヴァン、私かな?」
「待ってカレンさん! アタシ行きたいです!」
「ハァ⁉️」
アタシの立候補にカレンさんは目を丸くして驚く。
いや、カレンさんだけじゃなく他の皆さんも驚いてる、なんで?
「フロル、お前は正気か⁉️ 何が起こるか解らないんだぞ⁉️」
「アタシ、前回のダンジョン調査で不足を感じたスキルを強化したんです‼️ あと新しいスキルも覚えました‼️
スキルがちゃんと扱えるか試してみたいんです‼️」
「そ、そうか……」
ダンジョン調査の後、アタシはアイテムスキルを中心に強化、役に立ちそうなスキルを取得、本業の白魔術スキルも強化や新スキルも取得した。
ふふふ、使うのが楽しみだ。
こうして、アタシはアウラさん、イヴァンさんと共に幽霊屋敷へと調査しに行くことになった。
――回想終了。
扉を開けたまま屋敷の中を見る。
ボロい外見通りに中もボロい、家具や床には埃が薄らと積もっている、床には何人もの足跡、きっと昨日、この屋敷に入った冒険者のものだろう。
パッと見では、只のボロい屋敷にしか見えない。
「アウラさん、何か解りましたか?」
「・・・・・・何も感じないわ。もしかしたら、この部屋には居ないかもね」
「幽霊を見たという冒険者達の話じゃ、討伐対象のモンスターを探していたら怪奇現象にあったとか」
「兎に角、屋敷内を探索しないとね。フロルちゃん、お姉さんから離れちゃダメよ」
「アウラさん、オレは~?」
「イヴァンちゃんはしっかりしてるから大丈夫♪」
「ええ~・・・・・・」
そんな軽いやり取りをしていたら。
――バタン!!
扉が大きな音を立てて閉まった。
突然の出来事に驚きで固まる、扉が閉まる程の強風なんて吹いていなかった。
イヴァンさんが確認の為に扉を開けようとするが・・・・・・。
「開かない、これは閉じ込められたぞ」
「はい!?」
まさかのお約束展開が発生しました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます