第11話 後日談・レナード、戦慄する

 始まりのダンジョンは調査の為、一次封鎖になった。


 協力してくれたSSランク冒険者に御礼を言い、調査は翌日に行われた。


 レナード率いる調査隊はゴブリンの巣、ジャイアントゴブリンが繭になっていた場所の調査をしていた所、魔力の痕跡を見つけた。

 其処を徹底的に調べたところ・・・・・・。


「にゃ、にゃんという事にゃ」


 魔力が最も高い場所を見つけ、妖精の粉を振りかけると魔方陣が現れた。

 魔方陣に描かれた魔術語から転送目的のものであると解るとレナードはこの魔方陣によってジャイアントゴブリンを始めとするゴブリン達は何者かが始まりのダンジョンに転送したのだと確信する。


「こんな馬鹿げた事をする奴がいるにゃんて・・・・・・、恐ろしい」


「「「「「にゃ~、恐ろしいですにゃ~」」」」」


 レナードの言葉に調査隊も賛同する。

 こういったモンスターの大量発生の原因は下の地層にダンジョンがあったという場合が多く人為的に発生したなんて事は今までなかった。

 レナードは今後、もしかしたら同じような事が起きるかもしれないと、魔方陣を魔導カメラで撮り、二度と発動出来ないように魔方陣に傷を付けてからダンジョンの調査を終えた。


――――――


 調査を終え、休日を迎えたレナードは大通りで有名な美味しいと評判のシュークリームを持ってギルド職員寮へ赴いた、目的は治安維持部隊への御礼だ。


 寮に入るとソファーに座り真剣に本を読むフロルを見つけた。


「本を読んでお勉強かにゃ?」


「わあ!? レナードさんでしたか、気付かなくてすみません! カレンさん達は出掛けてます、何かご用ですか?」


「いやいや、いきなり声をかけたみゃ~が悪いにゃ。

 今日は調査の御礼を持ってきたのにゃ、御礼のシュークリームにゃ、皆で食べてにゃ」


「これ三時間前に並ばないと買えないって言われてるシュークリームじゃないですか!? ありがとうございます!!」


「そんなに喜んでくれてなによりにゃ」


 キラキラした目でシュークリームを見るフロルにレナードはニンマリと笑い、予想以上に喜んでくれて並んだ甲斐があったと思う。

 ふとフロルが読んでいた本のタイトルが目に入る。


――アイテムスキル強化のススメ~アイテムで無双しよう~。


 どうやらアイテムスキル関連の本のようだ。

 フロルが白魔術スキルで対応出来ない部分をアイテムで補っていた事を思い出し、レナードはフロルにスキルを強化するのかと問うた。


「はい! あの時、大量のゴブリンと戦った時に使えるアイテムを増やした方が良いと思いまして・・・・・・」


「そうかそうか、フロルは頑張り屋だにゃ」


「それとアイテム作成スキルで作れるアイテムを増やして、その為にも先ずは薬草栽培スキルを強化したり魔石に関するスキルも取らなきゃいけない。

 本業の白魔術スキルも覚えないといけないのがいっぱいある、スキルをたくさん覚えないといけない!!

 ああ、そう思うととってもワクワクしてきちゃった♪ どれから覚えようかな~♪」


「フロル・・・・・・?」


 急に生き生きしだしたフロルを見てモンスターについて熱く語るアッシュを思い出したレナードは思った。



――この子、フロルはスキルマニアにゃ!!



 シュークリームの時より目を輝かせて覚えるスキルを言い出すフロルにレナードは戦慄するしかなかった。

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