翌日

僕が登校していると、昨日あれから見かけなかったいじめっ子達が近寄ってきた。


「よー、ぼっち。昨日はアイツにやられたけど、今日は一緒じゃねーんだな」

「まぁ、好都合じゃねーか?」

相変わらず嫌な感じだな…と思って無視していると…。


「おい!無視すんじゃねーよ!!」

と、肩をガシッと掴まれた。


「前から思ってたけど生意気なんだよ!オラッ!」

ブチッ!と音がして首元に付いていた十字架のブローチが強引に取られてしまった。


「返してよ!返せっ!!!」

「そんなにこの十字架が大事なのか?なら取られねぇように机にでも閉まっておけばよかったのにww」

僕は焦っていた。母の形見のブローチ…。肌身離さず持っていたブローチがあいつらに取られてしまった事に。


「取られる方が悪いんだよ~。お、ちょうどここ、川か」

「何する気だよ…。返せよ!!!」

相手にガバッとつかみかかろうとした瞬間…。

「おっとぉ、手が滑ったぁ」

そんな間抜けな声と共に僕のブローチは川へ落ちていった。

「そんな…」



「まァ、この川流れはえーし、ドブみてーだから見つけらんねーかもな!ぎゃはは!」

「こいつにかまってないで、早く行こうぜ!」

あいつらは笑いながら去って行った。



僕はそんなのには目もくれず、川へ下りていった。

冷たい水の感触に、ドロリとした足下。早くブローチを見つけなければ。

「どこだ……」

水は濁っていて何も見えない。落ちた付近を懸命に探すが、手につくのはゴミのようなものばかりだった。

「嫌だ…。あれは唯一の…」

形見なんだ。絶対に見つけ………

「っ!」

足が滑ってしまった。バランスを崩し、更には川の流れに逆らえず立つことも出来なくなり

「がぼごぼ…」

水を飲んでしまいながら、意識が途切れた。

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