昼休み

昼休みになった。

クラスメイト達は各々外へ出るなり、教室で休むなりしている。


不思議といじめっ子達は1時間目からいなかった。サボったのだろうか?


机の上でイノから借りたハンカチを見てみる。

全体的に薄紫で、蝶々の刺繍が編み込まれている、上品なハンカチ。

僕の涙を拭いたのに、生地はサッパリとしている。


「すごいなぁ…」

思わず言葉が漏れる。

「何がだ?」

「だって、あいつらを…ってうわあああ!?」

当たり前のように僕の机の端に座っているイノ。


「ああ、すまんすまん。何か考え事でもしてそうだったから、ちょっと様子を伺ってたんだ」

「で、でも、僕の机、足…っ!!」

声が強ばる。テンパってしまう。


「まぁ…、ここで話もなんだ、一旦外へ出ようか」

 こうして僕はイノに外へ連れられた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る