第5話 反戒律/ディスルール

 というわけで、撃破した栄庵をその場に放置して帰ろう。

 そそくさと崩壊しかけたバーガーショップから立ち去る私と未来。


「……綺譚のダンナ、そういや聞いてなかったんだけども」

「うん?」

「そもそも神命教会ディバインオーダーってなんなん?」

「うっ」


 う、説明したくない。


「……能力者を世界の敵と見做して倒そうとしている集団」

「嘘、だね?」


 鋭い。

 神命教会ディバインオーダーは能力者狩りをしている集団でもなければ……なんなら、宗教ですら無い。

 いや、宗教ではあるのか?


「私の後輩のハーレム」

「なんて?」

「私の後輩の、ハーレムなんだよあの組織!」


 より厳密に言えば。

 私の後輩である上方かみかた冬馬の救ってきた人間の集まりだったもの。

 それが、彼の能力によって、組織として形成された結果が神命教会ディバインオーダーだ。


「【反戒律ディスルール】。所有者の提示したルールをとする人物に対し、特定の感情を強制的に抱かせる洗脳系能力だ。

 はっきり言って凶悪と言ってもいい能力だと言えよう」

「え、えー。女の敵じゃないっすかそいつ」

「いや、冬馬は……ラノベの主人公みたいな奴だよ。こんなの自分から使うことはない」

「こんなのって言った。こんなのって言った。

 どうせダンナが与えたんでしょそれ!」


 まあそうだが。

 見ず知らずの女が敵対的な能力者に殺されかけて、そこで私に力をよこせと言ってきたので与えた。

 まあその状況では役に立たなかったので私がその敵を薙ぎ払ったのだが。


「っと、置いておいて。本当にラノベの主人公みたいなやつでな。

 揉め事に首を突っ込んで、毎回その事件に関わりのあるを劇的に救済してきてまあ……。

 (その後男女関係で)2,3回刺されてたっけか……」

「やっぱ女の敵じゃねーか」


 そういう側面があることは否めない。


神命教会ディバインオーダーに話を戻すと。

 冬馬は【反戒律ディスルール】を制御できてないから誕生した組織だ」

「うわー、ろくでもなー」

「制御できてない結果、その能力が反転した。

 つまり。

 所有者に対して、を持つものにあるルールを遵守させる」

「特定の感情ってーと」

「デスヨネー」


 恋慕以外にもルールを組み立てられるはずだが、私は確認していない。


「そのルールに基づいて生まれた組織が神命教会ディバインオーダーなわけだ。

 初期メンバーが基本的に能力者にいい感情を抱いてないから部隊作って倒そうとしてるんだ」

「いい迷惑~。

 SNSでアニメのネタバレしてるだけなのに詰められないといけないのヤバくない?」

「お前、それで訴訟されてただろ……」









■■■■■

 能力者名:上方かみかた冬馬

 能力:提示したルールに従おうとする者に対して、特定の感情を抱かせる【反戒律ディスルール

 主な用途:ハーレム形成(語弊あり)

■■■■■

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る