第3話 反切断/ディスカット
栄庵は最強の格闘家である。
それははっきりいって生まれ持った才能と体格、そしてそれを理解できる戦闘本能によるものだ。
一切の努力を無為に返す最強の頂にいたといえよう。
だが、最強といっても人間だ。
そのような状態にある人間が慢心しないということはなく当然のように自惚れた。
数多くの道場破りの真似事を繰り返し、やがて彼はある情報に行き当たる。
能力者の存在だ。
身一つで以て、炎を操り、雷を発し、橋を蹴り砕く超常の人間たち。
彼の発想はシンプルだった。
そんな存在を倒せば、自身の最強を証明できる。
まあそんな安易な行動はすぐ叩き折られるのだが。
よりによって最初の最初で
その後である。
皆崎綺譚の手によって、すべての才能を否定し
■■■
「……というわけで、私と彼の出会いはそんな感じだったわけだ」
「うんうん、つまり……バカなんだね!」
「その話普通本人の前で言うか!?」
そのバカ、栄庵は拳をこちらに向けたそのままのポーズで私の話にツッコミを入れる。
「で?
「バカ言うんじゃねえよ! 風切のじーさんがくたばったからこれからは俺が
バカである。
彼の言う風切のじーさんとは、
現代日本で生存できないタイプのひどい人斬りで、人を斬ることに快感を覚える危険人物だった。
だからこそ私は彼に【
「バカだ……」
「単純な世界で生きてるっぽい~?」
「俺のことをバカバカ言うんじゃねえ!」
その一言とともに、栄庵は私に向かって殴りかかってきた。
鋼のように硬い拳をまるで砲の如く激しく真っ直ぐに。
その一撃は先程の柱と砕いたのと同じようにあらゆるものを破壊するだろう。
人類最高峰の拳とはすなわち人のなし得る最強の一撃であるのだ。
「【
だが、その拳は外されたテーブルの天板によって防がれる。
強引に金属の脚を捻じ曲げて盾のように手に持った天板はその拳をまるでそよ風をそらすかのように軽くいなしたのだ。
「〈
拳を受けたのに遅れるようにして。
私の両腕は鱗に覆われ、両目と額から火のようなモノが迸る。
人の形という枷を外した戦闘形態。
「何度やっても学習しねえバカは、ここで修正してやろう!」
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能力者名:風切 兵次郎
能力:あらゆる刃物をなまくらに貶め、切断による攻撃を無為にする【
主な用途:自身の使う刀をなまくらにすることで、相手を無限に痛めつける。
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