第2話 反才能/ディスギフト
「綺譚のダンナ、あんた帰りに襲撃にあうぜ」
そう、ポテトをつまんだ指で私を指差すのは未来予知能力者の米屋未来。
人間性最悪のネタバレ魔で、自分が見た未来を話さずにはいられないという厄介な性根を持つ女だ。
その人間性が示すように、粗雑でぶっきらぼうな口調で私に見た未来を告げる。
「そのダンナって呼び方はやめてくれないか」
「魔王綺譚ともあろうお方が、この程度の戯言気にする~?」
うぜえ。
毎回会うたびにこういうノリを押し付けてくるヤツだ。
そして帰り際に起こるだいたいの事故なんかを予言して、しかも言ってくる内容は大体回避できないという。
これでもだいぶマシになったほうで、先の未来視の内容を言わなくなっただけ改善している。
「で、襲撃?」
「そそ、
いやー、さすが綺譚のダンナ、敵が多い」
しかも関わったらどうなるかという情報が得られない。
出来事が起こるところまでしか予知出来ないから危険度を図るとか全然出来ない。
肝心なところで役に立たない未来予知能力者である。
そして、それがどれだけ役に立たないかと言うと――。
「あ、綺譚のダンナ。未来が変わったわ。
これから、右手の壁が吹っ飛ぶ」
――そう。未来視能力なのに。
致命的なまでに不慮の事故や突然の出来事というものに弱い。
【
それを起動させると同時、私の体は時間の流れというものから切り離されすべてがゆっくりと認識される。
そのすべてがほぼ静止に近い速度で動く空間の中、未来の胸ぐらを掴んで私は席から離れた。
一歩、二歩。
正常な時間の流れにいないということは、時間に依存するものの影響から切り離されるということでもある。
心臓は正確に脈打たず、思考すら異常な欠損を起こす。
それに抗えるような特性を【
隣の席に身をひそめるように潜り込んだと同時に時間の連結が修復され、元の空間認識へと戻る。
それと同時にだ。
分厚いレンガ積みの柱が粉砕された。
それは拳によって破壊されていた。
ただの正拳突きの一撃によってである。
もしあの席に座っていたら(米屋未来は)死んでいただろう。
「ん? 外したか? 完璧だと思ったんだけどな」
砕かれた柱の向こうにいたのは、時代遅れな暴走族か番長とでもいうべき服装とガタイを持つ男。
しかもそれはカソックを強引に歪めて作られたような、なんとも奇妙な出で立ちであるのだ。
「【
「おいおい、誰のせいでこんなクソ狭いところにクソ女と入るはめになったと思ってるんだ【
私は中指を立てながらその啖呵に反論する。
【
私が知る限り最強のハズの格闘家であり。
組織というものにとっておおよそ最悪のサボり魔である。
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能力者名:
能力:修練をポイント化し、自身の持つ技能に自由に振り分けられる【
主な用途;ポイントを振り分けなければ技能が変動しないのを逆手に取って、修練をサボり続ける。老化もしない。
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能力者名:皆崎 綺譚
能力応用:自身に科された時間の枷を解き放つことで一時的に認識速度と動作速度を引き上げる〈
主な用途:緊急回避。
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