インスパイアされた作品に関してはキャプションに記述がありますが、読むと『SPY×FAMILY』に近い多重活動ものに感じました。
しかしながら偽りの子供を介して標的の子息に接近させようとするあちらよりも、プロパガンダ色が強く、演技することが不可欠なアイドルであるため、雰囲気は大きく異なります。
ホームコメディのあたたかさはなく、タイトルからは想像がつかないくらいにシリアス。タイトルからは、まるで男性プロデューサーが可愛いアイドルとキャッキャウフフするかのような内容に感じられ、嫌煙されかねないのは難点かもしれません。内容はむしろ女性プロデューサー兼スパイの主人公を中心とした、シスターフッド的な女性の共闘関係が描かれており、タイトルで読むのを躊躇っている方がいれば、回れ右するのは少々早いと耳打ちしたいです。
個人的には、主人公がプロデュースするアイドルデュオが魅力的な反面、展開の都合上、急ぎ足にスターダムを駆け上がってしまうところは勿体ないと感じました。アイドルものと言えば成長譚も孕むと思うので。
もっと輝ける点があるというのは、この作品自体がアイドルの才能を秘めているということなのかもしれません。
アイドルプロデューサーとスパイの面白い組み合わせ、そしてそこからはなかなか連想できない硬派な内容は、物珍しさだけではない面白さを得られると思います。