第4話

「さて、今宵も静かに始まりますっ。

今日からは銀河鉄道の夜をはじめましょうか…」


田舎の少し大きめな駅の広場で平日の21時から朗読を始める。それも交番の前で堂々と。機材は何もなく、本とパイプ椅子のみで。最初は誰も立ち止まることなく通り過ぎていたが次第に人が集まるようになっていた。


「姉ちゃん、次は蜘蛛の糸か杜子春で」

「難しいリクエストきましたね。来週辺りそれでいきましょうか?よろしいですか?」

返事の代わりに拍手がおこる。

「了解です。では銀河鉄道の夜、始めますね」


懐かしい思い出。今では諸事情が重なりとうとう外出禁止となってしまった。みんなどうしているだろうか?


私は本棚から1冊の本を取り出す。

コーヒーを片手にデスクへと向かう。

静かに息を吸い込み、深呼吸。

パソコンのスイッチをOn。

ヘッドセットを装着する。


「はい、皆さんこんばんは。今日も1日お疲れ様でした。体調はどうですか?ちゃんとご飯食べてますか?ボク?はい、ボクは今日も元気にご飯を2回食べてます。

それではいつもの始めますか……」


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