2話 倉田柚希 ②

 はーーーーーっ

えいちゃんの隣りか……

緊張するな……

田坂の結婚式に呼ばれたって、とおるに言わなくちゃ。


は?なんで?って言われそうだな……

なんて言おうか……


夜、子供たちが寝てから、招待状をとおるに見せることにした。


「とおる、これ!」

「何?結婚式の招待状?誰から?」

そう言いながら封筒から出して

「大澤美咲って誰だっけ?」

と私の顔を見た。

「ううん、じゃなくて、田坂からきたんだ、それ」

と私が言うと、えっ?と、慌てて招待状の名前を改めて確認して

「田坂って、剣道部の?」

「そう」

「なんで ゆきが呼ばれんの?」

「私もちょっとびっくりして、今日電話してみたよ。

なんかね、何年か前の同級会の時に、私に言われたことで、結婚を決めることができたから、恩人だって言われたよ」

「なに言ったの?」

「それがさ、あんまり、ってゆうか全然憶えてなくて。

田坂が言うには、結婚相手はきっとみつかるから、諦めるなって言ったらしいんだよね」

「それだけ?」

「うん。きっと、酔っぱらって、ペラペラなんか言ったんだと思うんだけどね。

私なんか出席していいの?って聞いたら、是非出てくれよ!って言われちゃってさ。

ほら、寺の跡取り息子だから、大勢呼ぶみたいなんだよ」

「ふーーーーん。そっか」

もう1度招待状を見ながら

「で、ゆきは出たいわけだ?」

と言った。


なにか、心の中を見透かされているような気がして、ドキッとした。

「ん?どうしようかって思ってるよ」

平静を装おって答えた。

「ゆきの好きにすればいいよ。

出る気がなかったら、もう電話で断ってるはずだから、俺に聞くってことは、俺の了承をえたいわけだろ?

いいよ。行ってきなよ。

同級生の結婚式も もうほとんど終わっちゃってるから、久しぶりじゃん」

「うん、そうなの!久々に結婚式に呼ばれたなぁって感じ」

「いいじゃん。出席しといでよ」

そう言うと、封筒に入れて私に返した。

「ありがと。とおる」

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