4話 倉田柚希 ④

 披露宴会場に入り、同じテーブルには、中学の同級生の正男、島くん、中村。

剣道部の宮坂くんと柳沢くん。

私と、えいちゃんのお母さんだった。

こんな大きな披露宴会場見たことないな。

7人から10人のテーブルが30。

250人くらいの列席者だった。

両家ともお寺さんで、檀家さんも大勢来ているのだろう。


新郎新婦の入場。

田坂ニコニコしてて満面の笑みだ!

ちょっと締まりがないぞ!って、つっこみたくなるくらい、幸せがあふれていた。

奥さん、小さくて可愛い感じの人だなぁ。

7こ年下の31歳って以上に若い感じがするな。


式は進行され、友人代表スピーチ。

私の番がきた。

係の人に案内されて、前のマイクの近くで待っていた。

田坂が、私の顔を見てにこっとした。


ちゃんと話が通っているようで、司会者が

「新郎のご友人代表スピーチをする予定でした、矢沢弘人様ですが、只今 奥様のご出産に立ち合われているという、とてもおめでたい状況でございまして、本日は代わりに矢沢様のお母様にご出席いただいておりますが、矢沢様たってのご指名で、中学の同級生で剣道部でも朋徳さんと共に汗を流されました、倉田柚希様に、矢沢様のスピーチを代読して頂きたいと思います。

倉田様、よろしくお願い致します」

と、紹介された。


「ただ今 ご紹介にあずかりました 倉田柚希と申します。

朋徳くん、美咲さん、ご結婚おめでとうございます。

ご両親様、ご親戚一同様、本日はおめでとうございます。

それでは、矢沢弘人君に代わりまして、スピーチをお読み致します。


“朋徳、美咲さん、ご結婚おめでとうございます。

僕と朋徳は、保育園の時からの付き合いで、何でも話してきた仲でした。

ふざけあったり、ケンカもしたり、長い付き合いになったな。

この場で言うのも何だけど、もう26年も前の話なので、言わせてもらいますが、中1の時、朋徳に初めて好きな子ができた。

僕は自分のことのように嬉しかった。

僕の部屋で、朋徳から聞いて、ジュースで乾杯したよな。

僕は、誰かを好きになるって気持ちが、その時まだよくわからなくて、でも朋徳のにこやかな顔を見ていて、すごく羨ましかった。

中2の時に、初めて僕に好きな子ができた時、今度は朋徳が僕を応援してくれたよな。

嬉しかった。

お互いに、その淡い恋は終わってしまったけど、心に残るものはあったよな。

38歳、世間一般では、もういい歳だ。

いい経験、失敗した経験、いろんな経験を積んできたはずだ。

でも、それは全部、今日こうして美咲さんと結婚する為の、大事なプロセスだったんだと思うんだ。

朋徳は、昔よりも確実に一人前の男になってるよ。

見た目も一回り大きくなったしな。

美咲さん、朋徳はあなたのことを絶対に幸せにしてくれるはずです。

僕が保証します。

泣かせるようなことは絶対にしませんよ。

優しくて頼りがいがあって、何より心がキレイな男です。

朋徳、美咲さん、本当におめでとう!!

どうぞ、末永くお幸せに。”


矢沢弘人君のスピーチは以上です。


朋徳君、美咲さん、心よりお祝い申し上げます」

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