14話 田坂朋徳 ⑦
「田坂憶えてないかもだけど、中1の2学期、席が隣りになってね、私達 結構仲良かったんだよ。
まぁ、私の勝手な思い込みかもしれないけどね。でも、いっぱい話したよ。
冬休み部活最後の日にさ、憶えてないかな〜。
さとみと2人で田坂に好きな人誰かって聞いたんだ。
さとみが面白そうだから、聞いてみよ!って走って行っちゃってさ。
わたしね、ホントなんかホントに、ばかみたいなんだけど、田坂が私のこと好きだって言ってくれるんじゃないかって、なんか 期待しちゃってた」
えっ??俺の気持ちわかってたのか?
「だけど、田坂の答えは2人のうち どっちか……
田坂が好きだったのは さとみだったのに、勘違いしてた自分が恥ずかしかった……」
そう言って下を向いた。
「それさー!!」
言っちまうか!?
「それ、2人のうち どっちかっての……
冗談だったんだ……」
「えっ?」
「俺、伊藤のこと別に好きでもなんでもなかったよ」
「なんで?だって!!仲良かったし、部活の時だって他の男子が、さとみに、田坂がチョコ欲しいってよ!って言ってたよ」
「あーーそれな……
あの時、おまえが走って行っちゃって、伊藤と2人になっちまって、喋ってたところを洋介に見られて、怪しいとか何とかって、噂たてられちまっただけでさ……
だから、伊藤は全然関係なかったんだ」
「そうだったんだ。
バレンタインデーに、さとみ1組の竹林くんにチョコあげに行っちゃって、田坂にあげなかったから、田坂かわいそうだなって思ってたんだ。
あの日もね、わたし諦めきれずにチョコ用意してたんだ。
田坂 誕生日だし、おめでとうって言いたかった。
でも、私からもらっても嬉しくないだろうなって思って、結局 田坂には渡せなかったけどね」
……マジかよ……
なんでだよ……
「それからすぐに吹石さんと付き合ったでしょ!じゃ、田坂はずっと吹石さんのこと好きだったってこと?」
「あ、まぁ そうだったかな……」
嘘をついた。
「そっか……2年の秋に えいちゃんと付き合うことになるまで、ずっと田坂のこと好きだった。えいちゃんに付き合ってくれって言われて、私、えいちゃんには正直に話したんだ。
田坂のことが好きだったって。
でも、諦めようとしてるって。
そしたら、えいちゃん それでもいいって、田坂への未練は俺が忘れさせてやるって、ちょ〜〜かっこいいこと言ってくれてさ。
そんな えいちゃんに甘えさせてもらって付き合うことにしたんだ。
それからは、田坂も知ってる通り、えいちゃんと順調に付き合ってたし、田坂のことはもう忘れてたよ。
だから、メールで中学の時、ずっと好きだったって言ったけど、正確には2年までかな」
本当に正直だな……その通りなんだろうな……
「俺は、中野のこと、ひろの彼女って風にしか見てなかったし、中野とは中学の頃ほとんど話したことなかったような気がすんな」
「そうでしょ!ほんと話せたの中1の2学期だけだから。
本当は話したいこといっぱいあったし、気持ちも伝えたかった。
だけど、全然話せなくてね。
なんにもできなくて、ただ失恋して辛かった。
でもね、そんなことどうでもいいってゆうか、全然忘れて生活してたよ。
なのにさ、夢をね、ほんと定期的に夢をみるんだよ。
その頃の、なんも話せないで、田坂を目で追ってるだけってゆう夢を、今までどれくらいみたのかな〜。
すごいみるんだよ。
それがさ、この間告白してからはみてないの!
心残り解消されたのかな。あはは。
だから、今頃だけど、告白して良かったなぁって思ったよ」
「おまえさ、告白なんてすんなら、結婚前にしてくれよ。
どうせなら、もっと早く言ってもらいたかったな。
せめて、ひろと別れた後とかさ」
「う〜ん。えいちゃんにフラレてからはさ、なんてゆうか、ちょっとな……
身も心もボロボロで、中学、高校とかの知り合いには会いたくなかったし。
成人式で久々にみんなに会ったって感じだったし。
あの時、田坂に会ってないもんね!」
「あぁ、同級会では会ってねーな。
成人式の時、ホールでは見かけたけどな」
「あっ!私もホールで見たわ!
えいちゃんと並んで座ってたよね。
さすがに、えいちゃんと別れました!
田坂のこと好きでした!って流れにはなんないでしょ」
「そりゃ、そうだけど」
「なに?もしも私がその時に告白してたら、付き合ってくれてたの?」
「あっ??いや、それもなかったかな……」
嘘をついた。
「でっしょーー!!ほら!どっちにしろ、早いか遅いかじゃなくて、私のことなんて眼中にないんじゃん!!
しかも、親友の元カノとなんて絶対付き合わないでしょ!」
「そう言われると、それもそうだな」
「もう!!」
今、酒飲んでる勢いで、全部言っちまったら どうだ!!
おまえのこと 大好きだったって!!
20年も経っちまったけど、今からでも……
そんなん無理だよな……
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