2話 倉田柚希 ②
秋
2日続けてみてしまった……
この夢 今まで何回 みてるんだろう。
もう、20年以上も前の、中学時代の夢。
私は、割とよく夢はみる方だ。
ヒーロー物が好きだからかもしれないけど、宇宙人みたいなのと戦ってたり、空を飛んでいたり、あり得ないような内容で、朝起きるとボンヤリとしか思い出せない。
それなのに、この田坂の夢は何度も何度もみるし、だいたい同じ内容で、朝起きてもしっかりと覚えていた。
なんだろ、私 よっぽど心残りなのかな……
自分では、そんなこと意識していない。
田坂には、気持ちを伝えることも出来ずに失恋して、片思いで辛かった。
でも、辛かった思い出なんて、他にもっとあるじゃん!
剣道の大会で1回戦負けだったことは、辛いなんてレベルの話じゃない。
えいちゃんにフラレたことは最大級にショックだったし。
桂吾のことは、申し訳なかったなって、今でも思ってる。
長井さんとの付き合いだってキツかったし。
忠志に突然フラレたことも、衝撃的だった。
北海道の人とはどうなったんだろう。
でも、そんなことを夢にみたことはなかった。
どうゆう仕組みで夢をみるのか、そんなこと今の科学でも解明されてないだろう。
とにかく、この20年間、私は自分でもよくわからない深層心理で田坂のことを忘れられないでいた。
告白できなかったことを、今でも悔やんでいるのかな……
そんなこと、正直もうどうでもいいことだと思っていた。
だけど、2日続けて夢をみて、なんだかこのままほうっておけないような気がした。
その日、峻の体操教室に行って、仲がいいママ友の明子さんに何気なく夢の話をした。
「あのさ〜、わたし聞いたことあるよ!!
テレビかな〜本だったかな、忘れちゃったけど、自分の知ってる人が夢に出る時って、相手もこっちのことを考えてる時なんだって!
テレビが電波を受信して映るみたいなもんなんだってよ!
その人も、ゆきさんのこと思い出してるんじゃない?」
ドキっ!!!!とした。
思いっきり、背中をドンっ!と押されたような感じだった。
その後、明子さんとなにを話したのか、上の空だった……
田坂に告白しよう!!
今更だけど、心残りを告白して、気持ちをスッキリさせよう!
とおるには、田坂への想いは話したことなかった。
あの報告書にも、さすがに私の片思いまでは書かれてなかったし。
そんな、胸の内までわかんないよね。
もう、人妻の私が男の人に告白するなんて、不謹慎なことかもしれない。
だけど、告白して不倫したいとか、そんな気持ちは微塵もない。
ただ本当に、気持ちを整理したいだけだ。
やましい気持ちがないなら、とおるに話せる?
いや、それはムリだな。
逆の立場で、とおるに 初恋の相手に告白するわ!なんて言われたら、落ち着いていられないもん。
自分がされて嫌なことは、人にするな!だよな……
やっぱり、告白なんてよくないな……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます