3話 倉田亨 ③

 パソコンで検索してみた。

[Real]


5人組ロックバンド

所属事務所 ルピアーノプロモーション

所属レコード会社 ルピアーノ

メンバー

Daiki   前嶋 大輝 【D】リーダー

shun   長谷川 瞬 【P、G】編曲

RYUSEI  桜井 龍聖 【V】

U-ya    武内 悠弥 【B】

keigo   須藤 桂吾 【G】作詞、作曲


音楽制作会社ルピアーノ主催の第1回アマチュアバンドコンテストにおいて、最優秀グランプリに輝き、コンテスト受賞曲である〈Yo・i・n〉で、CDデビューした。

これまでに発売されたシングルは10曲

アルバム3枚をリリース

〈Lovesickness〉

〈realtime‘rock〉

〈Soulful Flag〉


 [Lovesickness 意味]


 恋わずらい


恋わずらい……

須藤桂吾のあの容姿から、恋わずらいなんて言葉が、なんとも似合わないと思った。

似合わないけど、あの13曲をまとめた言葉として適切だとも思った。


俺も長いこと患っていた。

ゆき、という病におかされて。

ゆきは、魔法使いなんじゃないかって、ちょっと真剣に思ったことがあった。

それか、すごい科学者?

惚れ薬みたいな物を持ってるんじゃないのか?って。

ゆきは、彼女の言葉を借りるなら、普通の人。

なんの取り柄もないし、可愛くもない。

取り柄もない、可愛くもない、とは思わない。

だけど、万人受けするアイドルのような可愛さではない。

どちらかと言えば、普通。

どこにでもいそうな人。

だけど、ある特定の人にとっては、虜になる。

矢沢先輩は、あんなにもモテる人だったのに、4年半?ゆきと付き合っていた。

それが、離れたとたんに効力が切れたのか、別れてしまった。

離れれば、効力が切れるのなら、俺はとっくに切れていたはすだ。

だが、切れなかった。

ゆきのことを思い続けていた。

そして、須藤桂吾も患っている。

歌詞にもあった。

『なんで こんなにも おまえにこだわるのか 

わからないから苦しいんだ』

って。

これ、マジでよくわかる。

須藤桂吾ほどの男なら、女なんて選り取り見取りだろう。

「ちょっとそこの女!」

って、所望すれば、股を開くだろ。

ゲスな言い方だけど。

離れて何年も経つのに、惚れ薬の効力は消えないのか?


問題なのは、この惚れ薬、ゆきの意思とは全く関係ないってこと。

意中の人がいて、その人に、自分を好きになってもらいたい!って願って発動されるものじゃない。

無意識にフェロモン的に振りまいていて、それを強く吸い込んだ人だけがそうなるのか?

そう言えば、佐久間先輩も、松井田先輩も、ゆきに気があったと思うけど、そこまで患っちゃいなかったのかな。

佐久間先輩なんて、よく

「セックスして〜!!チンコがうずく〜!!」

って、部室で男だけの時に言ってたな。

いくらなんでも、中野先輩押し倒して、無理やり犯すようなことまではしないだろうと思っていたけど。

あ、3年の秋くらいに、同じ剣道部だった世奈先輩と付き合ってたな。

やって別れたような話も聞いたけど。

松井田先輩は、一個下の佐知香とだいぶ長く付き合ってたよな。

そう言えば、結婚したんだっけか!!

そんな話も聞いたな。

ゆきは、自分を惚れさせてるって自覚もないし、興味のない相手の気持ちには鈍感だし、無頓着だ。

自分自身の自己肯定感がかなり低い。

謙遜してるわけでもなく、ほんとに自分に自信がないのだろう。


ゆきって……


結婚して、ゆきのすべてを手に入れたと思った。

だけど、なんだろ……

なんてゆうか、いまだにつかめない感じ……

不思議な人だ。



ってゆうか、Realのこと検索してたのに、つい思考が脱線してたな。

まぁ、いいや。

もう寝よ。



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