23話 中野柚希 ⑫

 11月10日


 社員旅行


朝から、なんだか私はハイテンションだった。

夜、とおるに会えるのが楽しみだった。

社員旅行中に抜けて、彼氏とデートするなんて、内緒だけど、すごいワクワクする。

大型バス2台で会社を出発した。

途中、休憩をはさみながらも昼前には八景島シーパラダイスに到着した。

ジェットコースターに乗ったり、水族館を見学したり、イルカのショーを見たり。

なんだか、いつもの社員旅行と違って、楽しいなぁって感じだった。

若い人は楽しいけど、おじさんたちは明日の鎌倉の大仏が楽しみかな。


八景島シーパラダイスをあとにして、横浜の中華街へ行った。

夕飯の時間まで少し時間があったから、お土産を買ったり、関帝廟をお参り?ってゆうのかした。

三国志の中でも、私は関羽推しだったから、なんかテンションあがった。

時間になったので、予約が入っている店に行った。


これはいくらのコースだったんだろう。

食材が高級な感じだった。

自分でプライベートで行ったら、これは注文できないな!ってものがどんどんでてきた。

バーミヤンの北京ダック以外の本物の北京ダックを初めて食べた。

料理が美味しいとお酒もすすむ。

いつも思うけど、瓶ビールをグラスに注がれると、自分が飲んだ量がわからなくて困る。

生ビールだったら、中ジョッキ3杯とかわかるけど、グラスだと半分飲んだくらいでお酌される。で、半分飲むとまたお酌される。常にグラスにはなみなみとビールが入っていてきりがないし、どのくらい飲んだのかさっぱりわからない。

だいぶ飲んだなぁと思ったところで、隣の席の課長が私に、紹興酒飲むかい?と聞いてきた。

飲んだことなかったから、いただきます!って答えて、紹興酒のボトルが運ばれてきた。

ちょっと熱燗で飲むのもいいんだけど、暑いからロックにしようって、もう11月だけどねって思いながら、ロックで飲んだ。

初めて飲んだけど、割と飲みやすかった。

中華料理にはあうんだろうな!って感じ。

これ、アルコール度数どのくらいなんだろ?

結構強いな〜と思った。

あ!一瞬忘れてたけど、私このあとデートじゃん!だいぶ飲みすぎたかも。

お腹もいっぱいだし、ちょっと酔っ払って、いい感じにポ〜っとしてる。

ホテルに着いたら、寝ちゃいそう。


中華街をあとにして、バスでホテルに向かった。

チェックインは、まとめてしてくれると言うことで、バスの中で館内の利用方法、明日の朝食の時間と場所、火災や地震の際の避難ルートなどの説明を旅行会社の添乗員の人がしてくれ、1人1人に部屋のカードキーが配られた。

このバスを降りたら、それぞれの部屋に移動して、明日の出発まで何の連絡もしないので、明日の出発時間厳守でお願いしますと、何度も念押しされた。

酔っ払ってるおじさんたち大丈夫かな〜って思った。

私も、酔っ払いだけど。

私は、5階の部屋だった。

部屋は、本当に普通の一般的なシングルルーム。

これは、快適に寝られるな〜って感じ。


部屋に入ってすぐに、とおるからメールがきた。


『仕事終わったから、30分後に桜木町駅で待ち合わせでいいかな?』


『了解です。私も今、ホテルに着いたところだった。30分後ね』


時計を見ると、8時5分。

20分にはここを出るとして、汗かいたし、軽くシャワー浴びて行こう。

髪を濡らさないようにシャワーを浴びて、着替えて化粧直ししてホテルを出た。


前に付き合っていた忠志が旅行好きだったから、一緒によく旅行した。

みなとみらい辺りにも、2、3回来たことがあったから、この辺りの土地勘が全くないってこともなかった。

スマホで確認することもなく、10分もかからずに、すんなり駅に着いた。

歩いたから、更にお酒がまわって、かなりポ〜〜っとしている。

なんだか、いい気分。

旅先でのアバンチュールなんて、そんな洒落たもんじゃないけど、今夜はとおるに抱かれたい。

そんな気分だった。



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