39話 田坂朋徳 ⑧

 「くそー!さっみーなー!!」


所々、凍っていて滑る足もとに気をつけながら、背中を丸めて歩いた。


明日で今年も終わりか。

早え〜な〜!!

昔より歳のとり方が早いような気がすんな〜!


はぁ…………

そっか……


ひろの引っかかってたものが何だったのか、やっとわかったな……

“1年の時からずっと 田坂のことが好きだった”

か……

直接 あの頃 言われたかったな、中野に……


あの時、

伊藤と、中野が2人で来た時……


「ごめん伊藤!中野に話しがあるから、向こう行ってて」

って言って、中野に

「中野のことが、好きだ」

って言えば良かった。

そしたら、全部 今と違っていたんじゃないか?

俺があの時、ちゃんと告白してたら、中野も俺のこと好きだって言ってくれて、あの時から今まで付き合うことが出来ていたのかもしれない……

中野の隣りにいるのは、ひろじゃなくて、俺だったのかもしれない……


「フッ、バカだな……」


あの時 あぁしてたら、こうしてたらなんて考えてもしょうがないって、ついさっき ひろに言ったところだろ!


バカだな、俺……

大切なものを手に入れられなかった……

俺の代わりに、ひろが大切にしてくれてるから、それでよしとするしかないな……

ちょっとブルーだな……


中野柚希か……


ひろの彼女


俺の初恋の人


あの頃より、ずっとキレイになったように感じるのは、髪型のせいでもなんでもなく、ひろとうまくいってるからなのか。


幸せなら それでいい……

あんなに笑顔でいてくれるなら。

いつまでも 幸せでいてくれるのなら。




              第1章   終 

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