37話 田坂朋徳 ⑦

 「よっ!またタイミング悪かったか?」

大丈夫かな?ボール投げつけてくるか?


「ふ〜っ!まっいいわ!あがれよ」

笑った。良かった。

「上 行ってて。今、母ちゃんいないから、なんか食うもんあるかなー。腹減ったし」

「あっ、俺、肉まんとか買ってきたよ」

「おっサンキュー!じゃ、飲み物、コーラでいいか?」

「あぁ」


ひろが、コーラのペットボトルを2本持って、部屋に入ってきた。


「ひろの部屋、なんか感じ変わったか?」

「うん?あぁ。1年前くらいに壁紙張り替えたんだ。

で、そん時ベッドの位置とか変えたわー。

前は、そこだったじゃん!」

そう言って窓際を指さした。

「あぁ、そうだったなー!」

「佐古は全寮制だもんな。全然帰って来ないって、朋徳の母ちゃん寂しがってたよ。

正月に会ったら、そう言ってたな」

「あぁ。去年は、年末年始も帰れなかったな。

長い休みあっても、ほとんど部活あっから」

「あっ!優勝だってな!おめでとう!」

にこっとした。

「おっ!ありがとう!」

「佐古に全部持ってかれたって、ゆきがボヤいてたよ」

「中野は惜しかったよ。あれ、なんか手首調子悪かったんか?」

「あぁ。腱鞘炎だって言ってたな。すげー腫れてたわ」

「そっか。みんななるけどな。それだけ稽古したってことだな」

「あぁ。春はもっと頑張るって、ちょっとやりすぎるから困るよ」

「マジメだからな」

「あぁ」

「今回、優勝したからさ、うちの先生にしては珍しく1週間部活休みくれたんだ。だから、久々に帰ってきたよ」

「そっか、良かったな」

「この間、練習試合でおまえんとこ行った時、

なんか機嫌悪かったからさ。気になってたんだ」

「悪かったな。おまえにあたっちまって。

なんか、こう、気持ちが不安定だったな。俺」

「そっか。で、今は安定したんだな?」

今日のひろは、普通だな。

「まぁ、そうだな。あはは」

「おっ!ヤベー!肉まん食べんの忘れてた!

3つずつな!ピザまんと、あれっ?何まんか忘れたけど。良かった。まだ、あったかかった!」

「サンキュー!俺、久々食うな 肉まん。昔、よく食ったよな!」

「あぁ」

「あっ、俺もコーラ持ってきて、置きっぱだった。はい!」

「サンキュ!」

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