25話 中野柚希 ⑭

 部活終わりで体育館へ行ってみた。

ここに来るのは、ちょっと緊張する。

マネージャーさんたちが、何しにきたの!?って視線を浴びせてくるのがキツい。

ってゆうか、マネージャーって何人いるの?

6、7人いるよね?


中を覗いたら、すぐに滝沢君を見つけることができて、ホッとした。

「滝沢くん!もう練習終わってる?」

「あ〜ゆきちゃん!おつかれ〜!終わってるよ〜」


“中野さん” じゃなくて、名前で呼んでくれる人。

走って、こっちに来てくれた。


「今日、佐古と練習試合だったって?どうだった?」

「うん、私は勝てたんだけどね。団体戦、うちの負けだったよ」

「そっか。まっ、練習試合だからね!本番勝てばいいんだよ!」

「ありがと」


滝沢君は、一歩近づいて小声で

「あいつ、機嫌わりーから、ゆきちゃんも余計なことは言わねー方がいいよ」

と言った。

「え〜なんなの、それ!

田坂もそう言ってたけど、その余計なことってゆう意味もわからないんだけど。

だいたい、えいちゃん何で機嫌悪いわけ?」

滝沢君は、困ったように眉間にシワを寄せて、

「う〜〜〜〜ん、難しいな〜!

俺の口からは説明できないわ!

まっ、とにかく、気をつけてな」

にこっと笑って、

「矢沢〜〜〜〜!いとしのゆきちゃん来てんぞーー!」

と大きな声で言って、じゃ、と手を振った。

「ありがと」


「ゆき!!どうしたの?」

えいちゃんが、すごい速さで走ってきた。

「部活終わりで来るなんて珍しいじゃん!」

「うん。ちょっと、気になって。一緒に帰れる?」

「あっ、いいよ!5分待ってて!あっ!3分でいいや!」

そう言いながら、もう走って更衣室へ入って行った。

「何分でもいいよ〜!そんなに慌てなくても……」

って聞こえてないな。

何?機嫌悪いの?

普通な感じがするけどな?

私が、鈍感なのかー??

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