24話 田坂朋徳 ⑥
中2 9月
突然、夕方ひろが家に来た。
平日の夕方になんで?
俺が、ひろの家に行くことは多かったが、ひろが俺んちに来ることはあまりなかった。
俺んちは、坂の上にあるから、登ってくるのが かったるいと言っていた。
そのひろが、自分から来たんだから、何か大事な用事なんだろうと思った。
「まぁ、あがれよ」
「おう、お邪魔します」
その声を聞いて、おふくろが奥から出てきた。
「まぁ!弘人くん久しぶりね!元気だった?元気そうね!いつも、朋徳がお世話になってて、チョコありがとね!すごいわね〜!モテモテなのね!やっぱり小さい時からカッコよかったけど、こうして見ると、朋徳とは大違いね!あはははは!」
「うるせーよ!おふくろ!部屋こなくていいからな!」
「はいはい、お邪魔しませんよ!弘人くん、ごゆっくり!」
「はい、すみません。お邪魔します」
マジ おふくろ うるせーよ!
“元気だった?元気そうね!” じゃねーよ!
答える暇もねぇじゃんか!
俺の部屋に入って、俺はカーテンをしめながら、
「で、何の話だ?」
と、聞いた。
「中野と付き合うことになった」
即答だった。
慌てて振り返って、
「あっ?誰だって?」
と、聞いた。
「中野柚希と付き合うことになった」
ひろは、ゆっくりと、はっきりと答えた。
「中野と!?中野が告白してきたのか?」
「違う。俺が中野に付き合ってくれって言ったんだ。好きだって」
「まっマジかよ!!おまえ、中野のこと いつから好きなんだよ!!」
「結構 前から。朋徳が中野のこと、やめたあとからだな」
なにか、クラッとした……
「……本気なのかよ!?」
「本気だよ!!じゃなきゃ告白なんてするかよ!!俺の初めての告白だぜ」
「……だな……初めてホレた相手が中野なのか?」
「あぁ」
よりによって、なんで中野なんだ?
「そっか」
なにか、ショックだった……
「ショックなのかよ?」
図星すぎてあせった!!
「あっ?何で俺がショックうけんだよ!!」
「まだ、おめでとうも言われてねーんだけどな」
「あっ、そうだな!!おめでとう!!
いや、ビックリしちまってさ。
まさか、そういうことになってるなんて全く知らなかったから。
何も言わなかったじゃん!ひろ」
早口になっていた。
「朋徳が忙しそうでさ。吹石さんに草加さん。で、横田さん。忙しくて、俺の話なんて聞く暇もなさそうだったからな」
なんか、イラッときた。
でも、出来るだけ平静を装おった。
「俺は、中野のこと泣かせるようなことしないから!だから、安心しろよ!」
「えっ?」
「それだけ言いたかったんだ。
1番先に、真っ先に朋徳に伝えたかった。
それが、好きだった女をもらう礼儀だと思ったから」
「あっ??」
カチンときた。
おまえが手に入れられなかった女を、いとも簡単に手に入れたぞ というような感じの言い方だった。
キレた。
「感じわりーな!!」
キツい口調になっていた。
「そうか?」
ひろは、にこっと笑いながら、そう言った。
はぁ……
あはははは!
そりゃそうか、こんなイケメンに、好きだって言われて、落ちない女はいないだろ。
あんないい笑顔見せられたら、良かったな!って思っちゃうな。
「まぁ、とにかくおめでとうな!!うまくやれよ!」
「あぁ。朋徳、サンキュ!」
あの時から2人は付き合い始めて、もう3年になるのか。
なげーな!
あんだけモテるやつが、中野を選んで一筋なんだから、すげーな!
いいな〜、うまくいってて。
中野柚希か……
ひろの彼女……
俺には、手の届かなかった人。
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