四弾目 お仕事疲れたので爆弾投げてみた!
彼か作った料理は温かくてどこか苦しくなった。いつもじゃありえない。そんな幸せなひととき。虜になりそうで怖い。あんな暖かい時間があるとこの仕事が怖くて辛くて仕方なくなる。ビクビクしながらキーボードを打つ。そしてありえない量の資料を見る。これを今日中にか…。
案の定終わらず残業。ようやく帰れるのに嬉しさなんてまるでない。疲れた体を引きずってオフィスから出る。するとそばにいた女の清掃員たちが何やら話をしていた。
「何あれ?」
「男の人よ…。さっきからずっといるの…。もう三時間位いるわ。」
「え?不審者?」
「でもなんの為にこんな長時間…。」
「人でも待ってるのかしら。」
三時間…人を………待ってる?もしかして、と思って会社から急いで出た。すると外には手すりにもたれかかっている男、ダイナがいた。どこかをじっと見つめ、ぼーっとしていた。私は驚いて、何故か感情的になって言った。
「どうしてっ!」
ダイナは私を見た。そして手すりから離れて私の方へ向かってきた。
「どうして、ずっと待ってたの?かえってよかったのに!」
私は、私の為にダイナが待っていてくれた事が嬉しい裏腹に悲しかった。自分が人を待たせて、最悪傷つけてしまった事が。
「お疲れさん。はよ帰ろ。飯はもうできてるよ。」
けれどダイナは笑ってそう言うだけだった。私は、それに腹が立った。
「答えてよ!」
「…待たれんのそんな嫌だった?」
答えたと思えば冷たい低い声を出して。怒るのも当然なのに悲しくてください
「違う!でも…。」
「でも、何だよ?」
「………。」
うまく言葉に表せず悔しくなりながらも俯いた。するとダイナが笑った。クハハハッと喉を震わせて。
「俺、自己中だからさァ、自分の為になることしかやんねーよ?だから、別にハルカの為に来たわけじゃないから怒んなよ。」
私は、顔を上げてダイナの仮面を見つめた。
「帰ろ。腹減った。」
結局、私の為なんじゃん。と思いながら私は「うん」と答えてトボトボ歩き出した。
今日は土曜日。しかし私は仕事。それをダイナに伝えると我儘を言い出した。
「今日くらいいいじゃねーか!休め!ほら早く休め!」
「今日くらいじゃすまないの!今日休んだら一ヶ月分の給料が入らなくなっちゃうの!」
「社畜じゃん!」
「うるさいわね!」
前にもこんな会話した気がする。でも、本当にダイナの言う通りで仕事量が多すぎてあるはず休みがなくなる。しかしそれは私が手を抜いてる訳ではなく、本当に仕事量が多い。社畜と呼ばれても仕方ない。
「……。俺に任せろよ。」
「……は?」
「俺も一応金が必要だから働いてるぜ?」
こんな人間離れしてるダイナが?
「どんな?」
ダイナはクククッと喉を鳴らした。
「気になる?」
私はこくりと頷いた。
「約三時間程度で約百万稼げる仕事だぜ?」
三時間で百万!?
「その名も…暗殺業!!!」
暗殺業!!!???
「これがまた最高でさぁ…。なんか依頼し受けた奴を殺すだけ!最高!」
…やっぱりダイナを普通の人間として扱っていたのがおかしかった。
「あともう一つ。爆弾とか作って売るだけ!はい、カンターン!」
と朝っぱら(まだ深夜)にハイテンション。所謂深夜テンションのダイナ。そんな重大なこと簡単に言っていいのか。またして聞いていていいのか心配になる。通報するべきだ。
「ハルカもやる?きっとハルカ運動不足で元気に動けないと思うからやっぱ遠距離攻撃かなぁ……。スナイパーとか合いそう!」
「や、やらないわよ!そんな…犯罪。」
「いやいや楽しいから!」
「楽しいければいいって問題じゃない!」
ハァハァ、息が上がりながらスーツを着た。行く前から疲れちゃった。
「まぁ、取り敢えず。今月が終わったら俺の言う事も少しだけ聞いてくれね?少しでいいからさァ。」
そう言うので聞いてみたら…。まさか…血だらけで帰ってきた。帰ってきてすぐ私は叫んで気絶したらしい。意識が戻ってもつぅ〜んと鼻をつく血の匂いは落ちておらず色だけ色だけ綺麗になったパーカーを見た。ダイナはずっと笑っていた。
「まさかァ…気絶するとはなァ…。クハハハッ。」
「あ、当たり前でしょ?!ほ、本当に人を殺めてくるなんて…。」
「でも、金は入ったよ?」
「そういう問題じゃ…。」
そんな馬鹿なダイナと私はこれからどうやって暮らしていけばいいんだ…。
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