青年期ささたけ(高校生) 小説編

 少年のときを超え、いよいよ青年が始まるささたけ。

 高校時代のテーマは、ずばり「恋愛」であった。

 中学生の頃には人知れず小さな片想いと失恋をしてみたりしたもの、やはり精神的には少年。愛や恋に実感を抱くことができず、当時の彼にとってそれは、未だ遠い憧れの域は出なかった。


 そこで青年初心者のささたけは、書物に愛の何たるかを問うことにした――というのは、真っ赤な嘘である。


 それはさておき、さっそく本の紹介を。


 ブギーポップは笑わない(上遠野浩平 著)

 夏と花火と私の死体(乙一 著)

 おいしいコーヒーのいれ方 キスまでの距離(村山由佳 著)



 高校時代に読んだ作品で、特に印象深いものは上記のとおりである。


 『ブギーポップは笑わない』は、言わずと知れたライトノベル界の大傑作であり、当時の電撃文庫の大看板作品である。

 特徴的なのは、登場人物がそれまでの夢や希望にあふれた若者ではなく、どこか陰鬱で諦観が漂う等身大の少年たちであることだ。ブギーポップは関係ない。


 今なおシリーズを買い集める程度には好きだ。


 『夏と花火と私の死体』は、乙一が十六歳という若さで執筆したデビュー作である。死体目線で物語が進行するというまったく新しい作品で、それを十代で書いたという事実は、宇多田ヒカル以来の衝撃であった。


 なお私はグロいもの(主に血)が苦手なので黒乙一(グロい系)の作品は好まない。のちに読んだ『Zoo』とかマジで無理だった。白乙一(切ない系)の作品が好き。『しあわせは子猫のかたち』『失はれる物語』とか大好き。


 『おいしいコーヒーのいれ方』は現直木賞作家、村山由佳の最初期の作品で――実は私、彼女には個人的な恨みがあったりする。


 当時、私は付き合っていた女性と仲睦まじく村山作品を読んでいた。

 そんなある日、新刊の発売情報を聞きつけ、首尾よく手に入れた後、そのまま彼女へと手渡した。


 そして彼女は無事読了し――私は何故かフラれた。

 なんでも、男性が信じられなくなったらしい。


 その作品は『海を抱く BAD KIDS』という、現在につながる村山節(性的描写)の始まりみたいな作品だったのである。リアルすぎる男女の欲望のぶつけあいに恐怖しフラれた――というのは、今なお青ざめる真実である。責任取れ。


 ――なんだか思い出して泣けてきたので、最後に一つだけ。




 村山由佳にまつわる話をしたいがため、この自主企画に参加した――というのは、哀より青い阿呆アホの所業である。

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