第3章

凶悪な殺し屋を連れてトカゲ人間達の再来襲


1


平和な日々が続いていたが、

息子のピーターを迎えに行くと、

思いもよらない出来事が、目の前で起こってしまった。

突然、何者かが現れると不思議な現象が起こり、子供とロビンが球体に包まれて、空中に浮かんだ後一瞬で消えてしまったのだ。


ニコルはあまりにも唐突な事が起きたので、理解が出来ず茫然としてしまった…。


暫くして我に返ると、リングの通信機でピーターに呼び掛けてみたが返事がない、

位置情報を見ると十キロ位先を移動している、

乗り物に乗ってイアンとジャックに、連絡しながらホープの司令室にに向かった。


司令室に入ると、

「大変な事が起きたな」


「お父さん、何者の仕業かしら」


「近くに宇宙船が飛んでいたが、

特長からして、トカゲ人間の船に間違いないだろう」


「またあいつ達なのね、最悪だわ、何か打つ手は無いかしら?」


「すでに打つ手いるよ、黒の戦士ジムが宇宙船に向かっている、

もうすぐ連絡が来るだろう」


「あー、誘拐された時助けてくれた人ね、

急に現れたと思ったら、トカゲの兵隊五人をあっという間に倒しちゃった、

凄く強いから何とかしてくれそうだわ、それと私達を怖がらせ無いために顔を見せてくれたの、

そしたらイアンに良く似ていたのよ、親戚かしら?」


「は、は、は、まーそんなもんだ」


隠すつもりはないのだが正体を証すにはまだ早いと思い、その場はごまかした。

ジム、ハリソンのクローン人間なのだが、二十五才に設定されていて内容は本人その者なのだ。

科学者で有り、総合格闘技の師範なのでジャックとイアンの先生になる。


その頃、宇宙船は三十キロ地点に着陸していた。

ジムは透明装置を使って船に潜入している、

ロビンやピーターと連絡が取れないので、コントロール室に侵入した、モニターを見ていて監禁されている部屋を確認すると、

妨害電波が流れている機械をオフにして部屋に向かった。


その場所に着くと兵隊二人が両サイドに立っていて、透明な強化ガラスの向こうに二人の姿が見えている。

周りに誰もいない事を確認して、

小さな声でロビンに連絡した。


「私は君達の味方だ、映像は消して声だけにしてくれ」


ロビンは咄嗟に映像をオフにして、ピーターの通信機もオフにした。

「おじさん、誰と話しているの」


「誰か分からないけど、味方だって言っているよ」


「私は君達の近くにいる、

チャンスが有ったら助けられるかもしれないが、まずは敵の様子を見てからだ、

あとはイアンとニコルに連絡して安心させてくれ、幸運を祈る」


司令室ではイアンが帰って来て、

三人で話していると、

ニコルに連絡が入った。


「ニコルさん僕だけど」


「まーロビン大丈夫なの、ピーターはどうしてるの」


ピーターの通信機もオンにすると映像がでて姿が見えた。


「あー、よかった、元気なの」


「平気だよ、ドゴンも元気だよ」


「部屋に監禁されているけど、

さっき誰か分からない人が連絡出来る様にしてくれたみたいで、中の様子を見ている様なんだ」


「その人はジムさん、強い味方だから安心して」


「わかった、見張りの兵隊がこっちを見てるからそろそろ切るよ、また連絡します」


三人はひとまず安心して、これからどうするか話し始めた。


「まずは敵の実態が分からないと動きにくいな、ジムからの連絡待ちになるのだが、何を準備するか考えよう」


「そうだね、ニコル一度家に帰って話し合おうか?」


「わかった、冷静になって考えましょう」


二人は家に帰ってテーブルで向かい合って話し始めた。


「私も一緒に助けに行きたいけど」


「え、いきなり何を言い出すんだよ」


「だって、ピーターの事を考えるると、じっとして居られないでしょう」


「どんな危ない敵が要るかもしれないのに、無茶だよ」


「私に戦闘スーツを貸して」


「あれは、能力適性検査に合格した人しか着れないんだよ」


「じゃあ、その検査をして」


暫く考えてから、

「仕方がないな、一応検査はするけど簡単な事ではないよ」


「何でもやってみないと分からないでしょう」


「そうだね」


「ありがとう、明日お願いね」


ニコルの本気度に押しきられてしまった様だ。


2


そして朝になって二人は検査室に入って行き。

「始める前に説明しておくけど、

機械を使って脳に刺激をあたえながら検査するから、

気分が悪くなるかもしれない、

様子を見てるから中止をする時もあるよ」


「わかった、検査して、」


まず反射神経、動体視力、危機回避能力の検査をすると、最上位に近いレベルが出たので、


「へー、凄い数値が出たよ」


「それって合格なの」


「一応はね、まだ今からだけど」


次ぎは機械に座って、フェースシールドの着いたヘルメットの様な物を被っている。


仮想空間に入ると、案内人が現れて標高八千メートルの雪山に、

ピーターがいるから助けに行けと言われて、

普段着のまま山を登り始めると、とても寒くて現実その物で、


凍えて倒れそうになりながらも

険しい崖を登り、何日も寝ないまま吹雪の中、凍傷になった体で登り続けてボロボロになって頂上にたどり着くと、

ピーターがいたので抱き締めると合格の鐘がなった。


シールドが開いて、

「ニコルおめでとう、合格だよ」


「えー‼️ 私どうしたの、何日も雪山を登っていたのに」


「まだ五分位しか経ってないよ、後二つ有るけど、どうする」


「ちょっと待って、頭がぼーとしてる」


暫くして始めると、

恐竜二匹が寝ていて、

すぐ側に卵が三つ有りそこにピーターがいて、

助けに行けと言われて、

恐竜の側を通り、ピーターを抱いて洞穴に隠れた所で鐘がなった。


そして、最後の検査が始まった、

火山が噴火している山小屋に、

ピーターがいるから助けに行けと言われて、

あっちこっちで溶岩が流れている間を通り山小屋に着いて、

ピーターを抱き締めると鐘がなった。


「ニコルおめでとう、全部合格したよ」


「なんのテストだったの」


「最初が精神力と、信念の心、

次ぎの二つは恐怖心、どんな困難に直面しても乗り越えていく勇気と、命の危険も承知で助けに行く一途な心。

さあ、テストの結果を持ってキャプテンの所に行こう」


データーを見せると、


「これは、凄いな、

最後の三項目は群を抜いている、我々以上かもしれない文句なく合格だな、おめでとう」


「有りがとうございます。

私これからどうするのですか」


「戦闘スーツを着るのだから、

まず格闘技を覚えて貰う為に、

データーを入力しに行こう」


検査室に戻り、

機械に着いたイスに座って、

お碗型のヘルメットを被り、

各種格闘技のデーターを入力し始めると、

砂に水が吸い込まれる様に、

勢い良く流れ込んでいる。

十五分程で機械が止まり、

目を開けると、


「どんな感じがする」


「まるで生まれ変わったみたい、こんなの初めてよ」


「ニコルの容量は大きいな、

まだまだ余裕が在るからいくらでも入りそうだ、潜在能力には驚いたよ」


二人は道場に移動した。


「じゃあ、始めるよ。

正拳中段付きを、左右三回してみて」


拳を付き出すと、「ビシッ」という鋭い風を斬る音がなっている。


「言い感じだね、次ぎは足技も入るけどいきなりで大丈夫かな?」


ニッコリ笑って、開脚をして床にぺったりと着けた。


「へー、凄く柔らかいなー」


「前にも言ったけど、

十才位まで男の子と間違えられるぐらい活発で、同い年の子達には木登りやかけっこで負けた事がなかったわ、今でも時間を作って毎日ストレッチとランニングをしているのよ」


「それなら大丈夫だね、三の型をやってみて」


三の型とは、三人の敵が自分の回りにいると想定して倒す演武。


フーッと息を吐き自然体で立った姿勢から半身になって、

いきなり両拳を付き出すと、

相手の顔面とみぞおちを打ち、

回転回し蹴りで後ろの敵を倒して、最後に相手のアゴを蹴りあげて、Y字ポーズになった。


思わず拍手をして、

「完璧な演武だ、これならスーツを着こなせる、キャプテンに報告するから先に帰ってて明日には着れるはずだよ」


待ちわびた次ぎの日の朝が来て、

二人で司令室に入るとキャプテンがニッコリ笑って、


「ニコル、おめでとう」

五芒星のマークが、ゴールドになったバックルを手渡してくれた。


「有りがとうございます、凄くキレイですね」


バックルはネットでホープと繋がっている、この町の住民は全員付けていて体の管理と、着ている服の色や形も自在なのだ。


二人は道場の中に有るパワー測定器の前に立っている。


「バックルをチェンジして」


チェンジをすると、ゴールドとシルバーのコンビのスーツ姿になった。


「どんな感じがする」


「凄い、体からパワーが溢れて来る様だわ」


「人間にはリミッターが付いているから、百%の力が出せない様になっているけど、

これを着ると解除されて、

潜在能力が引き出されるから何倍ものパワーが出せるよ」


「そうなの、じゃあ試してみたいわ」


「そのままジャンプしてごらん」


垂直にジャンプすると、八メートルの高さを跳んだ。

「ヒャー、凄い、体が軽いわ」


「次ぎは、そのバッグを叩いてみて」


バッグを叩くと「ドン」という鈍い音がなって、

三百キロの数値が出た。


「まあまあだね、今度は正拳付きで思い切り打ってみようか」


腰を下ろして「コフォー」と独特な呼気を吐き、

気を高めて拳を打ち付けると、「ドーン」という凄い音がなって何と、一tという驚異的な数値が表示されたのだ。


驚いて、

「フルフェイスにして、パワー数値を見て」


「二十倍って出ているわ」


イアンは依然よりレベルアップしてはいるのだが、十三倍なのだ。

「これは驚きの数値だよ、

今度は回し蹴りをしてみて」


右足を半歩後ろにずらし、

左足を軸にして体重をかけた回し蹴りをいれると、

さっきよりも凄い、「バーン」という強烈な音が鳴り響いて、

数値が二tを表示している。


「女性でこんな凄い数値が出たのを初めて見たよ」


「私と組み手をしてみる?」


「今日は止めて、また今度にしよう」

内心、本気にならないと危ないと思った。


「そう、じゃあ次ぎは何をするの」


「今度は外に出て飛行テストをしよう」


イアンもバックルをチェンジしながら外に出て、


「ウイングを出して羽ばたいてごらん」


ウイングからは特殊な気体が出ていて、推進力を発生させている、

背中から羽を出して羽ばたいていると体が浮き上がった。


「羽の大きさは、飛ぶスピードによって変わるんだよ」


「面白い!鳥になった気分だわ」


「じゃあ、ついてきてよ」


二人は空に舞い上がって、空中散歩を始めた。


「気持ちが良いわ、あれ、十キロ先の人の顔がはっきりと見える、ズームが付いているみたい」


スピードを出して海に着くと、


「今から海に入るけど、中に入ったらウイングを小さくして」


海に入ると。

「今度は魚になった気分ね」


「深く潜るから付いておいで」


水深五千メートル位潜った所で、


「不思議ね、真っ暗いはずなのに良く見えるわ」


「色んな事がわかった様だから、今日はこの辺で帰ろうか」


二人は予想を大きく上回る結果が出た事に大満足をして、この日のテストは終わった。


3


司令室に戻り、キャプテンに報告すると事のほか喜んで、

「素晴らしい成果が出たね、改めておめでとう」


「有りがとうございます。

これからどうします」


「その事だがジムから連絡があって、凶悪な敵の人数は七名でハンターと殺し屋、

厄介なのは魔術師に、本物の悪魔だと言う話しだ」


「敵が七人いるのならこっちも強い戦力を増やさないと、戦いが不利ですね」


「そうだな、今はむやみに動くよりジムが帰ってから考える事にしよう、ニコル、気持ちは分かるがピーターの救出は、もう少し待ってくれ」


ニコルは黙って頷くしかなかった。

その時イアンの通信機が鳴り、

鬼族ジンの映像が出て、


「やあイアン元気か、近くに来たから久ぶりに顔が見たい、会えないか」


「いやー、ジン本当に久ぶりだな突然なので驚いたよ、じゃあ四十分後に家に来てくれ」


ホープに太陽のラベルが付いた、アルコールの強さ九十度の酒を作って貰い、

家に帰ると間もなくしてチャイムが鳴って、ドアを開けると。


「お邪魔するよー」

ヘビメタファッションの様な、

伸縮自在の革ジャンスタイルに、

チェーンを付けた女を連れて入って来た。


「良く来てくれたね、嬉しいよ、そこに座ってくれ」


ジンと女が座ると、ニコルが料理二品を持って来て、


「ジンさん、お久しぶりです」

笑顔で、二人に酒を注ぐと、


「ニコル元気そうだな、ご馳走になるよ」

一気に飲み干すと、

「カー、旨いこれが呑みたかったんだ、リリーお前も呑んでみろ」


勧められて一口呑むと、

「きついな、口に合わねえよ」


「リリーさんと言うのね、こっちのワインを飲んで」


「この娘は姪っ子でハンターをしているんだ、口が悪いのは気にしないでくれ」


「チェース、よろしくな」


「ところで、本当は何の用事で来たんだ」


「やっぱりバレたか、トカゲの奴らが来ているだろう、五年前からリリーに奴らの行動を見張らせていたんだ」


「そうなんだよ、俺達に仕返しに来たみたいで、さっき敵の情報が入って凶悪な奴らが七人いるらしい」


「今の状況はどうなっているんだ」


「実は俺達の子供と、弟が人質なっているんだが、闘える人数はキャプテンを除いて、まだ三人しか居ないんだ」


「そうか、では是非とも俺達を入れくれないか」


「本当に!それは助かるよろしく頼むよ」


「俺達は友達だから、困った時に力を貸すのは当然だろう」


「有りがとうジン、さあ呑でくれ」

強力な助っ人が来たお蔭で希望が見えて来たのだ。


一方司令室では、ジムが帰って来てキャプテンと会話している。


「魔術師と、悪魔が相手だと一筋縄ではいかないな」


少し考えてから、駄目もと覚悟で、

「ホープ何か言い方法は無いかな」


「キャプテン、少しだけ待って下さい」


ホープの中で「ブラフマー様。」

と、呼かけたところ、


光りに包まれて現れた。

「私を呼んだのは誰ですか?

あらまー、ホープさん久ぶりですね。ホ、ホ、ホ、」


「はいお久ぶりです、実は困った事が起きました」


「それ以上言わなくても言いですよ、成る程魔術師とサタンの息子が敵方に居るのですね、

そう言う事なら特別に適任者を呼びましょう、

地蔵尊さんいらっしゃい」


光りに包まれて現れた。

【地蔵尊】お地蔵さん、二十才位のお坊さんの姿で、手には輪っかが沢山付いた杖を持っている。


「はい、ブラフマー様」


「困った事が起きています、助けて上げて下さいね」


「はい、喜んで」


「私達も参加しましょう」


「私達とは、どうするのでしょうか」


するとブラフマーが変身して、

山高帽子を被った長い白髪と、手には大きなコブの有る杖を持っている、魔法使いになった。


「あれ、私は人の中に居るのですか?」


「そうですよ、私と一緒に居るのです」


「私達も闘うのですか」


「闘うのではなく跳ねかえる膜を張って防御をします、

壁にボールを投げると跳ねかえって来るでしょう、これが大砲の弾だと大変な事になりますね」


「わかりました」


「では名前を決めましょう、

地蔵尊さんは「ジソン」

私達は「ブラホ」

さあ、参りましょう」


突然キャプテン達の前に二人が現れると。

「ウワー驚いた、貴方達は誰ですか?」


「ホ、ホ、ホ、私達はホープくんに頼まれて助っ人に来た者じゃ」


「ホープ本当に呼んだのか?」


「はい、キャプテン二人の名前は、ジソンさんと魔法使いのブラホさんと言います」


「これは取り乱してしまい、大変失礼をしました、

私はジャックと申します、どうぞよろしくお願いいたします」


「ホ、ホ、こちらこそよろしく頼みますぞ」


こうして七人の強者が揃った。


宇宙船の敵の様子を視ると、


まず初めは、貴婦人の様な女が船内を歩いていると兵隊二人が、

ニヤニヤして、

「姉ちゃん、すまして歩いているじゃあないか、

あんた高額で雇われていると聞いたが、本当に強いのか?」


女はニコっと笑うと、

一瞬で二人の首と頭が離れて床に転げ落ちた。

【カマキリ女】殺し屋のキリ


次ぎは、SMの女王の様なファションで、頭にヒツジ形の角を生やした女が、悪魔の部屋に入って来た。


「おー、デビルの娘か良く来たな、こっちに座って酌でもしてくれ」


笑いながら座って御酌をしながら、

「お久ぶりですね」


「そうだなお前は、幾つになった」


「九百才を越えているわ」


「そうかまだ若いな、わしは十万年を越えているぞ、ハ、ハ、ハ」


悪魔の名前【マモン】


女はデビルと人間のハーフ

【ビル】


同じ部屋にいる魔術師

【ウイザ】


そのほか、

殺し屋のエイリアン人間

【リアン】


ハンター、サイボーグ人間

【ボーグ】


ハンター、

変身、メタル人間

【タール】


ピーターとロビンを救出する為の戦いが、間もなく始まろうとしている。


イアンがニコルを武器管理室に連れて来て、色々な武器を説明しながら手渡していると、


「これひょとして、弓かしら」


「そうだよ」


「私、弓使うの得意なの」


「初めて会った時持っていたね」


「どうやって使うの?」


「気を高めて弦を引くと、エネルギーが集まって光りの矢が出て来るよ」


「へー簡単ね、じゃあこれも持っていくね」


こうして準備が整って決戦の日がやって来た。

ホープの近くの広場に全員が集まって、顔合わせと自己紹介がすんだところで、キャプテンの挨拶が始まった。


「皆さんご存じの様にピーターと、ロビンが敵の船に監禁されています、

一刻でも早く救出に行きたかったのですが、人員や準備が不足していました、

そんな時偶然も重なり心強いメンバーが集まった事に感謝します、やっとこの日が来ました。

これから先は何が起きるか分かりませんが、

二人を救出して全員が無事に帰還出来る事を祈ります」

挨拶が終わり全員の士気は高まった。


その様子を船の中でドロンとイヤミが、魔術師の水晶玉で見ていた。


「ケ、ケ、ケ、奴らが遂に動きだしましたぜ」


「そうだな、前回暴れた鬼ともう一人の奴もいる、

この日が来るのをどれだけ待った事か、目にものを見せてやれ、

ケチョン、ケチョンのギタン、ギタンにしてやるグワ、グワ、グワ」


「じゃあ私は全員を集めて準備をしに行きます、ウイザとマモン付いて来なさい」


マモンにギロリと睨まれて、イヤミは震え上がった。


「あっそうだ、何か有ったときの為に、船の中に強い奴が残っていたほうが良いから、マモンは来なくても良いよ、ケ、ケ、ケ、」


逃げる様に部屋を出た。

マモンは相変わらず酒を飲んでいる。


その頃広場では出発しようとしていた、

ブラホがキャプテンに声をかけて、

「キャプテンさん、わしの目に映った物が、司令室の映像機に出るから様子を見守って下され」


「了解しました」


ジンは盾をサーフボードの様にして乗り空中に浮かんでいて、

リリーは空中バイクに乗ったまま出発の合図を待っている。


「それでは出発して下さい、幸運を祈ります」


「ホイ、それじゃあ行きますかの」


ブラホが杖で軽く地面を叩くと、

人が通れる空間が開き、ジソンと一緒に入って行くと同時に、

残りのメンバーは空に舞い上がり

船に向かって飛んで行った。


かくして、いよいよ決戦の火蓋が切られるのであった。


4


一足先にブラホとジソンが船の近くに現れて立っている、


「ブラフマー様二人を救出に行くのですか?」

ホープが尋ねると、


「ホ、ホ、ホ、いいえ、私達は保々見学者になるでしょう、

ここで様子を見ていましょう」


すると船の中から兵隊二十人位が、マシンガンやレーザー銃を持って現れると、


二人は防護膜を張った。

「あら、あら、自滅しても知りませんよ、私達のせいでは在りませんからね」


兵隊達は二人に目掛けて容赦無く、マシンガンやレーザー銃を発射して来たのだが、

防護膜に当たると打った本人に戻り、アッと言う間に全滅してしまった。


「ほら、そんな事をするから、これは自業自得ですよ」


その様子を見ていたイヤミとドロンは、


「カー、何が起きたんだ兵隊が全滅したぞ、あの二人は何者なんだウイザ解るか?」


「たぶん、私と同類の者でしょう」


「グワ、そんな奴らもいるのか、

こしゃくな、お前も早く行って倒してこい」


ウイザは頷いて空間を開けて外に出ると、ハンター達は集合していた。

そして、イアン達も到着してブラホ達の横に並んだ。

敵を前にして一瞬の静寂が在りビリ、ビリとした空気の中、


リリーが、

「おら、おら、お見合いに来たんじゃあ無いぞ、てめえら皆なぶっ殺してやるから覚悟しやがれ!」


デビルの娘ビルが反応して、

「ハ、ハ、ハ、弱い犬程よく吠えるって言うじゃあないか、仲間がいるからって強がってるんじゃないよ」


「なんだとー、てめえから先に血祭りにして殺ろうか!!」


ニコルが一歩前に出て、

「私体を動かしたいの、誰か相手になってくれる?」


すると、カマキリ女のキリが、

「ほ、ほ、ほ、私がお相手するわ」


と言いながら前に出て来た、

ニコルが歩いて近付くと、


凄い速さで真横に来ると、手がカマになって切り付けて来た。


ニコルの目にはコマ送りの様に、スローモーションに見えている。


難なく攻撃をかわして、回転しながら蹴りを背中に打ち込むと、

両手を広げてバンザイの姿になったので、すかさず正面に跳び顔面に強いパンチを打ち込こんだ、


顔が凹み、二十メートル後ろに飛ばされると、羽が飛び出てカマキリの姿を現した。


「ちくしょうー、よくも私の大事な顔を殴ってくれたなー、絶対に許さん切り刻んで殺る!!」


「あら、綺麗な顔だったのにそれが本性なのね」


カマを大きく振り上げて、交差をさせて振り下ろすと真空の刃が襲いかかって来た。


咄嗟にシールドを大きく広げると「ザザ、」という音と共に衝撃が通り過ぎて行ったので、

後ろを振り向くと木が何本もスッパリ切れて倒れている。


「ヒエー、危ない、そっちがそう来るなら、こっちも飛び道具を使わせてもらうわ」


気が狂った様に、続けて攻撃をして来る間だを見極めて、弓を背中から取り出して、

弦を引っぱり気を高めて光りの矢を放つと、


胸に命中して穴が開き、

「ギャー、」と言う断末魔の叫び声と共に前のめりに倒れこんだ。


ニコルが圧勝で勝負が終ると同時に、

全員が相手を決めていたかの様に飛び出していったのだ。


「よーし、良くやったニコルまずは一勝だ、これは幸先が良いぞ」

キャプテンは映像を観ながら大喜びをしている。


一方船の中では

「カー、あれはあの時の小娘じゃあないか、あんなに強っかたのかなんてこった」


「グワ、強い奴らを雇ったんじゃあないのか?」


「ケ、ケ、ケ、まだ始まったばかりですよ、まー見ていて下さい」


【ジャックVS変身メタル人間タール】


タールは体が超合金属で出来ていて、銀色に光っている、

何にでも変身する能力を持っているので、手がドリルになって攻撃をして来た。


ジムは素早い動きで攻撃を交わしながら、手や足技を使って打撃をしてみたが、


「よう、黒い人あんたの攻撃は痛くも痒くも無いぜ」


「その様だな、じゃあこれでどうかな」


レーザーソードを出して顔面に切り付けると、腕をクロスして防いでいる、「ジー、」という音がして少し凹んだ様に見えたのだが、


ソードを離すと直ぐに元に戻っているので、胸を突きさすと穴が開いたものの、また直ぐに元に戻ってしまった。


「ハ、ハ、ハ、無駄だ無駄、お前の攻撃は効かないぜ、今度は俺の番だ」


そう言うと大蛇に変身して、素早く体に巻き付いて来た、

強烈に絞め挙げているので身動きが出来無くなったのだが、

スーツを大きく膨らませると、

余裕が出来たので元に戻るとジャンプをして難を逃れた。


「ほー旨く逃げたな、だが今度はそう簡単にはいかんぞ」


「そうかな、やれるものなら殺って見ろ」


まるで誘う様にけしかけている。

今度は銀色のシーツになって全身を包みこんだ、


「もう逃げられ無いぞ、お前の体を吸収して殺る」


「そうかな、お前の負けだ覚悟しろ」


「何を負け惜しみを言っているんだ、観念しろ」


ジムは体が密着しているので、

細胞の分子と原子を解析して、

分解光線を放つと、

シーツのあちこちに穴が開き、「ギャー、」という声と供に地面に崩れ落ちたのだ。


【ジムの完全勝利。】


「やったー、凄いぞジム」

キャプテンは手を叩いて喜んだ。


「グワ、何また負けたじゃあないか一体どうなっているんだ」


「ゲゲゲー、こんなはずじゃあ、

次は大丈夫期待して下さい」

イヤミは二度の負けを見て焦り始めている。


【ジンVSサイボーグ人間ボーグ】


ジンは巨大化して戦闘モードになりボーグに向かっていくと、


二人は正面からぶつかり合い打撃戦が始まって、パンチやキックの応戦をしていたが、一瞬の間が空き二人は離れた。


「中々のパワーだな、今度は武器を使うぜ」

ジンがそう言うと、


「良いぜ、やってみろよ」


背中から右手で剣を出して、飛ぶように近付いて頭に切り付けると、相手が出した左腕に当たったまま剣は止まっている、


右のパンチが来るのを感じて咄嗟に後ろに跳び退いたが、

顔の左側に打撃の衝撃があり横を向いたまま、ボーグの方を見ると右腕が無くなっている。


ジンの剣と盾は宇宙でも、もっとも硬いと言われている金属で出来ているのだが、ボーグの体には防御膜が張られているので、

剣は通用し無いのだ。


すると、左腕が離れてロケットの様に向かって来る、後ろに殺気を感じて咄嗟に盾を出して、

身をひるがえしながら腕と盾を使って攻撃を跳ね返したが、

ロケットになった二つの腕は空中で円をえがき何度も襲って来る、


それを見ていたボーグの胸が開きロケット弾を四発、発射して来た。

防御シールドを張って座り込むと、弾丸が当り凄まじい音と共に土煙が上がっている。


土煙が収まるとジンがうつ伏せに倒れているのを見て、ボーグは腕を元に戻して、勝ち誇ったかの如く近付いて来た。


無傷なのだが、殺られた振りをして待っていると、背中を足げにしたとたんに背後に抱き付いて、


「掛かったな、お前の負けだ覚悟しろ」


「何だと、まだ生きていたのか?」


開いた手を耳に押し当てて、

渾身の気功波を放つと、強い衝撃が脳に当たり、破裂して崩れてしまうと、膝から堕ちて倒れこんでしまったのだ。


ジンは勝利の雄叫びを上げた。


「よしこれで三勝目だ、流石鬼族、大したもんだ」

キャプテンはガッツポーズをして喜んでいる。


「グワ、何だ何だ、また負けたじゃあないか、いったいどうなっているんだ」


「ゲゲ、面目御座いません、次ぎです、次ぎに期待して下さい」

イヤミはこの場から逃げ出したい気分であった。


その頃ニコルは透明装置を使って侵入していた、コントロール室に入ってモニターを見て、ピーターとロビンの姿を確認すると部屋に向かっている。


マモンは、アンテナの網を船内に張めぐらしていたので、

「おや、ネズミが一匹入って来たようだ」


「グワ、何誰か侵入して来たのか」


「その様だな、ちょっと行って来る」

立ち上がると、壁をすり抜けて行った。


ニコルは部屋を見付けて二人を確認すると、周りに注意しながら、


「ロビン、ピーター私よ」


「え、ニコルさん」


「そうよ、近くにいるの助けに来たわ」


「ママー、早く助けて」


「ピーター、ママが行くまで静かにしていて、兵隊に見付かると大変だから」


「うん、わかった」


すると、突然ニコルの前にマモンが現れて、目からレーザービームを出すと、透明装置が故障して姿が現わになった。


強大なパワーを持つサタンの息子マモンを前にした、ニコルの運命はいかに、


ピーターとロビンの救出劇は、

クライマックスに突入するのだが、


ジソンにはもう一つの顔が在り、意外な結末が待っている。


【イアンVSエイリアン人間リアン】


【リリーVSデビルと人間のハーフ

ビル】


【ジソンVS魔術師ウイザ】


後編につづく

悪魔やハンターと戦い誘拐された二人の救出劇









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