第2話 銀髪少女は天使の如し
果たしてテレビコマーシャルかそれともドラマや邦画の影響か。不思議と夏には炭酸ジュースが飲みたくなる。
それ以外の季節なら、買ってまで飲もうとはせず、ファミレスや何かのドリンクバーで飲む程度なもので、基本はコーヒーとか、とにかくそれ以外のジュースを飲むのだが
[プシュッ]
そう、この喉ごしが――
「あ、へんたいだ」
夏の風物詩としての炭酸飲料が、まさしく気が抜けそうになった。
まただ。
名前も知らないこの銀髪白ワンピース少女は、ほんのわずかに視点をそらした隙に、こうして何の気なしに現れる。
その特異な見た目の効果もあって、オカルティズムとリアリズムの境を無しに、彼女を幻覚かもしくは幽霊として疑ってしまうのはラフカディオ・ハーン大先生と僕だけではあるまい。
「言っておくが僕は変態じゃない」
「じゃあ、どうして私のすとーかーなんてするの」
幼いとは自意識の塊であることなのかもしれない。
しかし彼女に罪はない。それどころかイエスは言う、彼女のような幼子にこそ、天国は開かれると。
汚れなき瞳で、彼女は僕を断罪したに過ぎないではないか。
「やっぱりお兄さんはへんたいだよ」
「お兄さんも良いけど、僕には
「ふみや」
やはり美少女の美ボイスで発声される名はいい。この際、下の名前&呼び捨てなのは穏便のご沙汰としておこう。
「ふみや」
気に入ったのか、独り言のように僕の名前を呼び続ける少女。
強い日光は僕とペットボトルに汗をかかせるが、白いワンピースに赤いリボンのある涼しげな服装のおかげか、彼女は夏そのものであるにもかかわらず、四季を超越しているようだった。
春や秋は言わずもながな、雪のような素肌はとても画になる。
ともすれば傍若無人な発言も、銀髪と色白さには柔和、いや懐柔する力を備えている。まさに色の白いは七難隠す、だ。
「私はレイナ、
突然、レイナちゃんはごっこ遊びを始めた。
僕は何役なのだろうか。
そう思えればいくらかマシだったかもしれないが、セカイは大学生の知識と経験則などでは到底、理解できないほどに複雑だった。
目まいがする。
それに足元がおぼつかない。
なんだそれは。
レイナちゃん銀髪が謎の黄金色の発光に照らされるのと同じくして、彼女の背後には謎の物体、いや、オーラとでも言おうか。
とにかくそこには、中学生かもしくは小学生くらいの背丈であるレイナちゃん自身を覆い隠せる・包み込めるような、立派な翼が現れていた。
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