第18話 オロチを救え!

南エリア カンザノートのデモはリュウの参戦により激化。内戦に発展していた。

軍を率いているのは、リュウと因縁のある将軍バッダであった。


ホテルから出たリュウは街の凄惨な様子を確認した。


「オロチとイッコを探さなきゃな!」


バッダの強さをリュウは骨身に染みて良く知っている。

反政府組織のリーダーのオロチとイッコの安否が心配だ。


先程まで自分を拷問にかけようとした相手を心配するのも変な話だがリュウとはそういう男なのである。


リュウは裏路地を足早に駆け抜ける。


街の中心部では即席のバリケードが無数に張られていた。オロチの指揮で戦闘が繰り広げられているのである。


「拠点はどうやら学校のようだな。」


東西南北の方向で各々が応戦している。

軍人でもない一般の民衆達にしては戦力はたいしたのもので、まだ攻め入られてはいなかった。


「ゲンブさん! 敵の部隊が北東の方から追加でやってくる。俺が迎え撃つので目の前の連中は任せるぜ!」


オロチは通信機で会話をしているようだ。


「おう!分かった!任せときな!」


スキンヘッドで大男のゲンブは威勢良く返答した。


「イッコは、ここで指揮してくれ!」


「OK!」


隣でイッコが勢いよく返事する。


オロチは3階の教室から校庭にヒョイと身軽に飛びおり、停めてあるバギーにまたがった。

そして、エンジンを勢いよく吹かした。


ブババオオオオオーー!!


砂煙を巻き上げバギーが吠えるように進む。


「おおおおおおおっ!」


バリケードを飛び越え、天王軍を蹴散らすと

猛スピードで北東に向かった。


目の前に天王軍の援軍が見えた。


オロチはそのまま突進し、数メートルまで近づくとバギーを後方に勢いよく飛び降りた。


「食らえーー!!」


バギーには爆薬がたんまりと積んであった。


ガッヴォーーーーン!!!


天王軍に突っ込んだバギーが鈍い音をたてて大爆発を起こした。


「つかみはOK?!」


オロチの攻撃は続く。


素早く体制を整えると、左右に猛スピードで移動を始めた。どんどん範囲を広げている。


やがてオロチの姿が残像を残し、姿は20人ほどになった。

その残像達は一斉に高くジャンプした。


背中に背負ったギターを機関銃のように構えるとそれらは砲撃を開始した。


ドドドドドド!!!

ババババババ!!!


「うわーー!!」

「ぐわー!!」


天王軍の悲鳴が連呼する。


天王軍の部隊は戦車2台と歩兵が50名ほどである。この攻撃により3分の2ほどがダメージを負った。


しかし、天王軍も迎え撃つ。


オロチの動きは速く当たらない。ノーダメージのままだ。


たまらず天王軍の指令を出している車両から、大男が姿を現した。ロケットランチャーを構えている。


バッダ将軍だ。


オロチは気配を察知し、間合いを取る。


次の瞬間に、ロケットランチャーが火を吹いた。


ここは市街地の中、無茶苦茶である。

オロチは直撃は免れたが後ろの建物に当たり、その爆風に巻き込まれた。


オロチの体が宙を舞い、数メートル飛ばされた。


「ぐっ……くそったれがっ!」


オロチはかろうじて無事のようだ。


起き上がり体制を整えようとするが、

バッダを乗せた装甲車は猛スピードで近づいてくる。

オロチはよろけながら立ち上がる。


バオオオオオーー!


容赦なく装甲車は突進してくる。

万事休すだ!

接触は免れない。


オロチは目をつぶり覚悟を決めた。


バッッ!!


横から一人の影が飛び出した。そして、その影は勢いよくオロチを突飛ばした。


「貸しひとつだっ!!オロチ!」


「おまえ!リュウか!? どうやって抜け出した?」


「まぁ、いいじゃないか? あの将軍は俺を狙ってきたようだ。責任は取るぜ!」


「フン!じゃ頼むぜ。」


オロチは少し不機嫌な素振りをしながら返事を返した。


「じゃ、俺は残りの残党どもを片づけるか!」


オロチはまたもや分身を出して残りの軍勢に立ち向かっていった。



バッダの乗る装甲車はドリフトで方向転換をして再びリュウへ戻ってくる。


ギュギャギャ!

バオオオオオーー!!


リュウはそこらに設置してある消火栓、貯水槽から大量の水を呼び寄せた。


空中で大量の水の塊が出来ている。


リュウは装甲車の車輪の下辺りを目掛けてその大量の水の塊をぶつけた。

道路は水浸しになり大きな水溜まりもできている。


装甲車はスリップして大きな音をたてて建物に突っ込んだ。


ギャギャギャーー!!

ゴバーーン!


身動き出来なくなったバッダは車から降りてきた。


「……。」


バッダは言葉を発する事なくリュウをにらんでいる。


「よお!又会ったな!元気そうじゃないかっ!」


リュウは相手の感情を逆撫でするが上手い。

バッダは前回リュウ達の策にはまり半死半生の目に会ったのだ。

そのせいでバッダの姿は体の三割が機能しておらず機械で補っている。


「オオオオオオオオー!」


バッダが物凄い速さで突進してくる。

既に背中に背負っている妖剣「デュランダル」を抜いていた。


「オオオオオオオアーー!」


リュウも負けずに咆哮する。


伝説の槍「トライデント」を構えている。


さぁ、因縁の対決の結末の行方はつくのか!?

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