番外2 親友を守る為の行動
転校したばかりの私は人見知りが災いし、折角声を掛けてくれたクラスメイトの女子にも、上手く返事が出来なくて、私が彼女を馬鹿にしたと思われてしまった。次の日にはもうクラス中の生徒が、コソコソと私の悪口を話していて、態と彼女を無視したと噂されたけど、人見知りの私はどうしたらいいのか分からず…。
私が1人教室に取り残され困っていた時、
偶然にもお兄ちゃんも、華奈ちゃんのお兄さんとお友達になっていた。今では何かと4人で
あのお兄ちゃんが、妹の私以外の女子に興味を持つなんて、初めてのことだった。それだけお兄ちゃんは華奈ちゃんが、大好きなんだよね?…お兄ちゃんが恋愛的に華奈ちゃんに好意を持ったのなら、私は絶対に応援するし協力するよ。だって私も華奈ちゃんが大好きなんだし、お兄ちゃんの彼女になって欲しい。
そんなお兄ちゃんが、華奈ちゃんを守る決心をした。自分の手で守りたいと言い出した。それならば私も協力するとお兄ちゃんに約束し、華奈ちゃんと共通の女子友の情報を、お兄ちゃんに逐一教えていた。だからお兄ちゃんは、華奈ちゃんのことに関しては詳しいんだよね…。
そうしてあの日、転機が来る。華奈ちゃんを何かと 目の
こうして私とお兄ちゃんの復讐劇が、始まった…。華奈ちゃんのお兄さんも巻き込み、華奈ちゃんの味方のクラスメイト達も、そしてお兄ちゃんのクラスメイト達にも協力してもらい、咲歩子ちゃんを罠に嵌めつつ、華奈ちゃんを見守ることに…。
華奈ちゃんは直ぐ顔や態度に出るから、分かりやすい。まだ咲歩子ちゃんに、心のどこかで期待していたみたいだ。華奈ちゃんは優しすぎる…。優しすぎるから余計に、咲歩子ちゃんがつけ上がって、華奈ちゃんにならば何でも許されると思っているんだよ、きっと…。
華奈ちゃんには悪いけど、咲歩子ちゃんは余程痛い目に遭わないと、後悔も反省もしないタイプだと思うよ。そういう訳だから、私達があの子を躾けちゃおう。
だからと言って、何をしても良い訳じゃない。咲歩子ちゃん同様に、表向きは人が良いように、振る舞う必要がある。彼女は性格も悪くあざといから、こちらが罠を仕掛けていると気付けば、避けようとするだろう。それでは、意味がないからね。
そういう理由で、慎重に慎重に罠を張ったのよ。仕掛ける相手がお兄ちゃんだからか、面白いぐらいに罠にかかってくれた、咲歩子ちゃん。ヒロイン役が主役じゃなくて足掻いていたけど、お兄ちゃんのひと睨みで大人しくなったし…。
彼女の相手役がお兄ちゃんじゃないと知った時には、相手役を丸め込もうとして失敗していた。異性ならチョロいと思ったんだろうけど、華奈ちゃんのお兄さんの親友でもあるからね、
華奈ちゃんが先輩達に可愛がられているのを見た時は、今度は全く関係ない生徒達を巻き込み、華奈ちゃんの悪口を噂させようとした。先に手を打っておいたけど、彼女の言う話は嘘だよと、もう一度口止めしに行ったんだよ。これで、二度と信用されなければ良いのに…。
劇の衣装がダサいと知った時には、嫌そうな顔をしたっけ。前日に知らされ、3年女子が管理している為、観念して当日着ていたけど、観客側の生徒達には衣装がダサいと評判が悪く、正直…いい気味だと思ったよ。
華奈ちゃんの本番の相手役が、お兄ちゃんだと知った時、明らかにショックを受けていて、時々華奈ちゃんを睨んでいた。舞台上のお兄ちゃんの演技には、顔を思い切り引き攣らせていたよね?…ふふふっ。あのお兄ちゃんの溺愛っぷりは、
華奈ちゃんは気付いてないようだけど、華奈ちゃんもお兄ちゃんには、好意を持ってくれているよね?…ただ、それが恋なのかどうかは、まだ不明なだけで…。
その後の咲歩子ちゃんは漸く懲りたのか、華奈ちゃんとお兄ちゃんに近寄って来なかった。陰口も言わないようだし、一応は成功したのかな?…それでも今後同様のことがあれば、今度は私が容赦しないからねっ!
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「田中さん。華奈の友人として、頼みがある。」
文化祭でやることになったクラスのお芝居で、役柄を決めることになり、
華奈とは、今の中学で知り合った。小学校は別の学校だったので、華奈と南部との因縁は、華奈と同じ学校の生徒達から聞かされた。南部の信者は多いけど、中学では3つの小学校から合流する為、別の小学校から来た私らには、全く通用しない。偶に男子が引っ掛かかるけど、華奈もそれなりにモテているし、華奈の陰口を聞かされた時点で冷めている。
華奈は本当に、誰にでも優しく童顔な顔も可愛くて、男子だけではなく女子にも人気がある。華奈の悪い噂が流れても、信じない生徒も多く庇う生徒も多々いる為、クラスでは華奈派と南部派に、完全に二分されていた。因みに私は「りっちゃん」と呼ばれる程、華奈とは親しい友人だ。
クラス劇の配役の際、南部は本性を現した。悪い魔女が華奈に似合う役だと推薦したのは、華奈の印象を悪くさせる狙いなのだろう。私は咄嗟に自分がやると立候補し、南部の策略を阻止する。これを聞いた
配役を決めた日の帰宅後、華奈から電話が掛かって来たと思えば、佐々木先輩が私に用があるらしい。今まで彼とは接点がなかったが、今日の劇の件である提案をされる。3年生と合同劇をする提案で、題材も配役も素晴らしく面白い内容だった。私はクラス委員なので、そういう融通は利くのだ。直ぐに男子のクラス委員と連絡を取り、これにて…南部に一泡吹かせる為の計画が、スタートしたのである。
「田中さんには申し訳ないけれど、悪役令嬢の役をやってほしい。」
そう電話で頼まれた私は、勿論即OKした。南部を陥れる為ならば、何でもしたいと思った。それに私は、そういう役は嫌いじゃない。普段からそういう人物になるのは嫌だけど、演技上では悪役も必要なんだし、誰かは演じなくてはならないし。家では双子の弟達の面倒を見る私は、普段から男子みたいにサバサバした性格で、こういう役でも一切気にしないのだ。
次の日、佐々木先輩からヒロイン役を提案された南部は、何の疑いもなく大喜びで引き受けた。自分が主役じゃないと南部にバレたその後も、佐々木先輩が上手く丸め込み、納得は出来ないが本気で嫌われたくないという、南部の薄っぺらい感情が手に取るように分かって、私も苦笑していた。流石は華奈を妹以上に愛している、先輩である。先輩の方が1枚も2枚も、上手だね…。華奈への愛が、私にも十分に伝わって来たよ…。
隣のクラスの知夏とも、華奈を通して仲良くなった。華奈を心配する知夏も、私がクラスでの出来事を逐一報告している。彼女は佐々木先輩の妹なので、華奈のことは先輩にも筒抜けだ。今回初めて先輩と絡み、流石は血の繋がった兄妹だなあと感じたよ。腹黒い計画を立てるところは、よく似てるかも…。但し、先輩は完全に腹黒い人だけど、知夏は華奈に関してだけみたいだ。私個人的には、知夏とは親友で居たいけど、先輩とは距離を置きたいかな…。
私は、華奈のお兄さんの方が好みかな。真面目で妹思いの優しい兄で、素っ気ない態度は恥ずかしがり屋の照れ隠し、だと思う。今回のことでは妹を守ろうと、第二王子の役はお兄さんだと偽装して、南部に信じ込ませていた。本番は佐々木先輩が演じる筈なのに、お兄さんは真面目に役に取り込んでいて、こういうところが好きだなあ、と私は好感を持っている。
基本的に私達華奈派と南部派は分かれて、別々の教室で稽古をした。南部派が1年の自分達の教室で、華奈派は3年生の先輩達の教室で、詳しいお芝居の稽古の状態を、南部に知られないようにと、本番前の練習までは一緒に練習することはなかったのだ。
華奈のお兄さんは真面目に稽古していたし、華奈もお兄さん相手だと上手く演技が出来るようだった。こうして迎えた本番では、華奈の演技はとても素晴らしい出来栄えであった。あれ程ど素人の演技だったのに、余程自宅でも練習したんだろうなあ…。佐々木先輩とのセリフの掛け合いも、まるで本物の恋人同士に見えたぐらいである。但し先輩は、本気なのかもしれないけど…。
お陰で私達の劇は、大好評であった。佐々木先輩を狙っていた女子達も、華奈には勝てないと思ったようで、文化祭が終了したその後は、2人の仲は公認扱いとされた模様である。それだけ、アレが演技に見えなかった、ということだろう。
取り敢えず、華奈。初の主役、お疲れさま。華奈が一番、輝いていたよっ!
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番外編2作目となります。次は、この人達が語ります。
前半がちぃちゃん視点で、後半がりっちゃん視点となりました。知夏は華奈に救われた気になっている為、華奈の存在がかなり大きいです。利都花にとっては華奈は妹みたいな存在なので、姉貴分として助けたいと思っています。
本文中に、利都花が華奈の兄に対しての好意を語りますが、まだ恋に憧れる年頃という感じで、特別な感情ではありません。この2人の関係も、短編で何時か掛けるといいなあ…。
※本編は既に完結しています。残すは、番外編のみとなります。この作品はあと数回で、完全に終了となる予定です。
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