番外1 絶対に譲れない場所
以前から、あの
そういう理由もあり、単に好きとか嫌いとか以前に憎いと思うほど、俺は
出会った時から華奈のことは、何か運命的なものを感じていて、彼女と一緒に居るだけで、俺の心の中は温かくなる。俺に寄ってくる他の女子とは違い、彼女は俺に擦り寄って来ないし、それどころか俺が華奈に向ける気持ちも、妹に向ける感情と同等なものだと、勘違いしている。
俺は華奈の前では、自然体でいられるんだよ。誰にでも優しい態度で接するのは演技だけれど、彼女には自然と優しく出来る俺。彼女は妹の親友であり、また俺の親友の妹でもあるから、自然と彼女の近くにいられる理由が持てて、嬉しく思うよ。
その大切な存在の華奈を、虐めている
実は以前から俺は、
これで華奈を敵視する人間は少なくとも、劇のメンバーの中ではこれ以上増えないだろうな。これから一緒に行動するメンバーに、
こうして
よしっ!…次の罠は、ヒロインの相手キャラだな。
台本を読んだ
だから、俺が適任だと言ってくれたクラスメイト達には、感謝している。舞台上で何が起こるか分からなくて、どうしても俺が助けたい気持ちが強かった。特に俺から頼んだつもりはなくとも、もしかしたらこの計画を立てた時点で、俺の気持ちは丸分かりだったのかもしれない…。
俺の気持ちは、肝心の華奈には届いていないけど、それでも俺は華奈を守るのは、俺がいい…。兄の葉壱には負けても仕方がないけど、他の男子には負けたくない。出来れば葉壱にも…。絶対に譲れないんだ、華奈のことだけは……。
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相手役でもある第一王子役の生徒を見て、
彼が
そうして
「レギラーナの役の子は、葉壱の妹だろ?…葉壱も真面目で良い奴だし、妹も兄思いだと聞いてるよ。だから…君の話すことの方が、僕には信用出来ないな。」
案の定
既に華奈は、彼女の穏やかな優しさに触れた3年女子にとり、マスコット的なキャラとなるほどの人気者になっていた。但し、華奈本人は全く気付いていないけど。クラスの女子の中には、俺と華奈がカップルになるのを、応援してくれている女子生徒もいたりする。応援まではしなくとも、生暖かい目で見守ってくれる女子生徒もいて。クラス中の生徒達が、俺達を見守ってくれているようだ…。
そうなると面白くないのが、
ここで第3の罠の発動である。
予め手を打っておいたのも功を奏し、俺達がデマだと触れ回る前に、
第4の罠は、芝居の衣装である。
但し…役を外すのは、最終の手段だ。
前日に衣装を見た
こうしてその衣装で舞台に出た
華奈の演技は完璧で、俺の助けは特に必要がなかったけれども、劇中で婚約者の役が出来て、俺は凄く…嬉しかったんだよ。華奈、君はどう思ってくれたのかな…。
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今回からは、番外編となります。先ずは、この人が語ります。
まだ中学生なので、恋愛になる前の段階でしょうか。まあ、柚弦は自覚しているような感じですけど…。華奈至上主義の彼には、咲歩子は目の上のたんこぶ…というところですね。仕返しが此処まで用意周到だと、逆に怖い……。
咲歩子のことを、「南部さん」と書いて「あの子」読みさせるのは、柚弦が名前さえ呼びたくない…という気持ちの表れからです。それだけ嫌っている訳で…。
※本編は既に完結しています。残すは、番外編のみとなります。この作品はあと数回で、完全に終了となる予定です。
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