第19話 迫る地区大会
それぞれ課題を抱えながらもだんだんと地区大会がせまってきた。それと並行して男女別の練習も始めている。どちらのほうも県大会はほぼ確定している。ベスト8までは神奈斗のチームとも竜ケ崎とのチームとも試合することがない。ほかのチームをさぐっても新人戦の時とメンバーが大きく変化していないことがわかっているため負けることはまずない。
県大会にいけるということに対しては一応想定内である。だが、ここ最近花南が気持ちよくプレイができないことが問題になっている。力を全力でだせないことや守備でもパスカットを専門にしている。これが試合でも続けば当たる可能性がある竜ケ崎との試合では花南を出すわけにはいかない。
「花南!!」
「え!!」
女子での練習中。私はパスがきていることを見落としていた。
ここ最近私は獣の力に恐れてうまく行動ができていない。それでは試合にもでれないのはわかっていても動くのが怖い。前とは違い無意識から急に獣になった。あの力は抑えるすきがない。だから集中しすぎないよううまく切らせながらプレイしてしまっている。
「すいません」
「今は自分に集中しな。花南なら大丈夫だから」
先輩たちにも多大に迷惑をかけてしまっている。私が抜けて練習することが一番周りのためになる。でも誰もそうさせてくれない。私がコントロールできるようにみんなが協力しようとしてれている。それに答えないのも悪いから参加せざるおえない。
それからも何度も連携のミス。私のせいで抜かれ点が入ることが増えてきた。それも回数を重ねるごとに極端になっていっている。焦りだせば元の獣の状態になる。集中しすぎれば獣になるのにミスを重ねても獣になる。ちょうどよく間をとるのが先決だけど、疲れれがたまればだんだんと幅が狭まることが感じる。
「すいません。少し休みます」
「わかった」
いったん休憩をとることにした。これいじょうやればどちみち獣の力が芽生えるから。
「あの先輩。強いのに手を抜いてるらしいよ」
「わかる。なんか頭おかしくなるやつでしょ」
休んでいると周りからの陰口が聞こえてくる。特に後輩からだ。同級生以上は理解してもらえても一年生にはまだ私の力が理解できないのも無理ないからしょうがないといえばしょうがないこと。唯ちゃんとかは頑張ってくれてるんだけどね。
「悠斗ナイスだったな今の」
「いえ、先輩たちが動いてくれるので回しやすいです」
お兄ちゃんは順調に司令塔として上達してきている。これなら神奈斗君ともいい試合になるだろうな。
神奈斗君と桃花ちゃん。あの二人もここ最近会っていないし連絡をとろうとしても忙しいの一点張りだから多分何か新しい技を作ってきていると思う。みんな仕上げてきてるんだよね。私以外。
「花南先輩。この後時間あります?」
唯ちゃんが声をかけてきた。唯ちゃんは混合だけで女子のほうは参加していない。そのため混合の練習を集中して行っている。体力もだいぶ戻ってきてより心強くなった。
「後でお兄ちゃんに聞いてみるけどどうして?」
「暇なら前のコートきてください」
前のコート。つまり唯ちゃんがこっそり練習していた外のコートのことを指す。
「それって獣の力関連だよね」
唯ちゃんが急に誘ってきているのは多分時間がもうないから。そのない時間で私の復活を目指そうとしているんだと思う。
「ですね。先輩には獣になってもらいます」
「え、何言って」
「私が耐久するので自分で元に戻ってください。それができれば全力でやっても問題ないでしょ」
唯ちゃんの意見は正しい。私が獣の制御の仕方がわかることができれば多分全力でできるようになる。
でも、
「それができたら苦労してないよ」
「はい。だから耐久するんです。今まで見たいに数プレイだけでなく元に戻るため私はずっと戦います。あおりと入れるので時間かけるとより深くなる可能性があるので注意してください」
「それじゃー」
それでは私がただ壊れるだけ。体がもたなくなる。そうなれば試合すらもできなくなる。
「どっちにしろ壊れても壊れなくてこのままでも試合なんてできないでしょ」
「でも!」
「ですよね。すいません無理なこと言って、ならいいです。地区は私がいるので混合は勝つんで安心してください。あの先輩のライバルみたいな人倒します」
「あの子も獣がある。さすがに無理でしょ」
「余裕でしょ。アメリカできたえたばけもんとはいえ、本能で戦う高校生。余裕です」
唯ちゃんのことはわかってきている。これは挑発。おそらく勝つ見込みはあるが確信はない。でも、私をやる気にさせるために。ここまでされて逃げてたら先輩がすたる。
「あの子に勝つならまず私に勝たないとでしょ。いいよ。使ってあげる後悔しないでよ」
「そうこなくちゃ。でもあくまで制御することがメインですからね」
試合まで残り少ない。ここからは私がやるんだ。
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