第18話 悪夢の後の花南

 ここ最近の花南は精神の状態が悪い。特に心配なのはさらに強くなった獣の力。そのあとぶっ倒れた。そして保健室につれて様子を見ていると花南はだんだんうなされるようになった。俺のことを呼んだこともあった。犬山先輩がきて少し変化があるのは覚悟をしていた。俺は花南の知らない犬山先輩が花南を厳しくする理由も知っている。だからこそ俺は絶えることができている。だが、壊れたのならこれは意味がない。だからこそ心配になってしまう。


 保健室で休むと少しはよくなった。だから母さんは呼ばずに歩いて家に戻った。歩いているときも特に話すこともなくもくもくと歩くだけ。俺から見た花南は恐怖に飲まれるような気がした。おそらく夢の中で見た悪夢それが頭の中で鮮明に覚えているからだ。


 家に戻ってからは夕食はとらずに部屋にむかった。母さんにも事情を話した。母さんも大体のことはわかっているし獣の存在がどれほど花南を苦しめているかもわかる。だから花南には同情してくれるから助かる。


 そして今になる。俺はおにぎり二つをもって花南の部屋の前にいた。単純な話獣の力で相当な体力の消耗をしている。それなのに飯をとらないのは結構まずいことだ。エネルギー不足で違う原因でまたぶっ倒れる可能性もあるからだ。

 入るのが怖い。目の前の俺と花南を挟む扉がそれがものすごく大きく見えるのだ。

「花南はいっていいか?」

「いや」

「力不足だと思うが相談乗るぞ」

「気にしなくていいよ。大丈夫だから」

 いつもの元気がないのは確実だ。これで大丈夫といわれても。

「先に誤っておくすまん」

 花南の話を聞くことは難しいだろう。だとしても助けないといけない。苦しんでいるのは花南だし、それを一人で解決するのなら問題ない。だが、このまま押しつぶされる未来しか見えない。

 だから強行し扉を開けた。

「お兄ちゃん」

 扉の目の前にいた花南はベットの端っこで震えている。枕を力強く抱きしめてることからも恐怖が感じれる。

「それだ。話してみろ。楽にはなる気もしないが」

「大丈夫だよ。今は怖くてもまた明日にはさ」

「俺とけんかして犬山先輩がきた。それに加えさらに怖くなった獣のちから。お前の嫌なことが三つもここ最近で起こっている。半分は俺が悪いのは自覚している。そんな俺が頼りないのはわかるけどよ」

 喧嘩と獣に関しては俺が想定した未来と全く違う展開になった。しかも一番悪い方向に。それは完全に俺が悪い。三分の二は俺が悪い。犬山先輩を利用したことも考えればほぼすべて俺が悪い。

「本当に大丈夫だよ。おにぎりありがとうおなかすいてたし食べるよ。今は一人にさせて」

「でも!!」

「ごめん心配ばかりかけて。今はさまだ頭の整理できないから一人で考えたい。ちゃんとまとまったらお兄ちゃんのこと頼るから」

「そ、そうか」

 やはりあいつがみた夢が相当怖いものだったのだろう。それもおそらく俺が原因。獣の力であればここまで震えることはない。俺と夢で何かあって俺を見るだけでその夢を思い出す。だから俺から避けたい。夢を消すためにも。っといったところだろう。

「寝れないなら俺の部屋こいよ。わかったな。無理して寝れないの我慢はするなよ」

「うん。わかった。ありがとうお兄ちゃん」

 部屋をでて壁に頭突きをした。哀れだ。愚かだ。助けにならないといけない本当に重要なところではそれができない。力を抑えられないのはずっとだし、それでも抑えてこれた。今はちょっと不安定だから抑えられない。それはわかっている。でもその不安定なのを支えられない。それが何より悔しい。


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